人気高まるシニアの婚活 人生終盤のパートナー探し終活見聞録(2)

特に年金生活者同士の場合は、結婚後に共有の財産をつくることが難しいため、相手の資産が少なければ、こうした問題が起こりやすい。子どもらへの配慮から事実婚を選択する人たちもいる。また、双方や一方に仕事があったり、持ち家があったりする場合、同居というスタイルをとらないこともある。ライフスタイルを大きく変えないように、お互いの家を行き来する「通い婚」や、週末だけ一緒に過ごす「週末婚」などを選ぶケースだ。

オーネット「独身中高年の恋愛・結婚に関する意識調査」 (注)対象は全国の50歳から69歳の独身男女900人のうち、「交際相手がいないが、ほしい」という人

パートナーの存在は、孤立防止だけでなく、認知症や病気・ケガの予防にもつながる。離れて暮らす子どもにとっても安心だろう。「行政は少子化対策としての若者の婚活だけでなく、シニアの婚活支援にも力を入れるべきだ。介護費用の削減の一助にもなる」と第一生命経済研究所の小谷みどり主席研究員は指摘する。

一方で「新しいパートナーを得た場合、子どもや親族がいれば、彼らとの関係をどう築くか課題になる」と続ける。どちらかが先立ったときに、財産の処分や葬儀、墓はどうするのか。子どもにとっては自分の親が先に亡くなった後、残ったパートナーの介護や世話をだれがするのかといった問題もある。シニア世代は若い人と比べると一般に結婚期間が短く、相手側の子どもや親族と関係を築く時間が少ない。パートナー同士で結婚前から話し合う必要があるだろう。

ワンポイント:事実婚のメリット、デメリットは

「入籍を伴う法律婚の配偶者でなければ得られないのは、相続の際の法定相続人としての権利」と弁護士の渥美雅子氏は指摘する。民法では配偶者を婚姻の届け出をした法律婚によるものと規定しており、相続でもこれを採用している。法律では夫の相続財産の2分の1以上が妻の取り分だ。これは事実婚ではダメ。したがって事実婚のパートナーに財産を残したいのであれば、公正証書遺言などでその旨きちんと書き残す必要がある。

夫が亡くなったときの遺族年金などは、事実婚のパートナーであっても受け取ることができる。こちらは生活の実態を重視している。国民年金法も厚生年金保険法も「『配偶者』、『夫』及び『妻』には、婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする」と明記されている。ちなみに終末期医療の同意や有料老人ホームへの入居などは、原則事実婚のパートナーでもOKのところが多いようだ。事前に施設側に確認したい。

一方で、夫を亡くして遺族年金をもらっているシングル女性では、新たなパートナーと入籍するとその権利を失ってしまうので要注意だ。法律婚ではなく事実婚ならば、引き続き受け取ることができる。新たなパートナーの収入と前夫の遺族年金の受給額を見比べ、今後の経済基盤を考慮して判断することが重要だ。

(文 土井誠司)

[日経回廊の記事を再構成]

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