うつ病で苦しむ人たちへの助言 自殺未遂の体験からスタンフォード大学経営大学院 シュラム氏に聞く(3)

佐藤智恵(さとう・ちえ) 1992年東京大学教養学部卒業。2001年コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。NHK、ボストンコンサルティンググループなどを経て、12年、作家・コンサルタントとして独立。「ハーバードでいちばん人気の国・日本」など著書多数。

佐藤:日本企業の社員はうつ病を患って休職した場合、解雇はされなくても、職場復帰したあとがつらいという現実があります。「あの人はうつ病だ」という評判が広がってしまうと、周りは必要以上に気を遣い、腫れ物をさわるように接する。一度、うつ病のレッテルをはられてしまうと、そこから挽回するのがとても難しいのです。

シュラム:そのつらい気持ちはとてもよく分かります。私の場合は、ニューヨーク大学の上司が何も聞かなかったおかげで、長期休養の理由は公にされることもなく、好奇の目で見られることもありませんでした。復帰後も、何事もなかったように仕事ができたのです。日本とアメリカでは文化が違うので、私のアドバイスがお役に立てるかどうかわからないですが、アメリカでは転職する、というのも現実的で前向きな解決方法です。同じ職場で気まずい思いをするよりは、できる限り新たな部門、新たな職場で再出発するのがよいのではないかと思います。

自尊心は仕事を通じて高まる

佐藤:うつ病を患った方々というのは、自信を失いがちです。それを仕事によって取り戻すことが必要だということですね。

シュラム:何のために自分は存在しているのか。自分は世の中の役に立っているのか。自分が価値ある人間なのだと実感できるのは、やはり仕事をしているときなのです。私たちの自尊心は仕事を通じて高まっていくものです。アメリカでも日本でも、特に男性には、仕事がすべて、という人が多い。ですから、不幸にもうつ病を患ってしまった人が自尊心を取り戻すには、理解ある職場でやりがいを感じることができる仕事をすることがいちばんだと私は思います。

※シュラム氏の略歴は第1回「『自殺未遂者の沈黙を破る』 世界が涙したTEDトーク」をご参照ください。

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