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シュラム氏は静かな郊外に引っ越し、電車で通勤するシンプルな生活を送ることで社会復帰を果たした(写真はニューヨークの郊外) =PIXTA

シュラム氏は静かな郊外に引っ越し、電車で通勤するシンプルな生活を送ることで社会復帰を果たした(写真はニューヨークの郊外) =PIXTA

世界でもトップクラスの教授陣を誇るビジネススクールの米スタンフォード大学経営大学院。この連載では、その教授たちが今何を考え、どんな教育を実践しているのか、インタビューシリーズでお届けする。今回はTEDトークで自殺未遂体験を語ったJ・D・シュラム氏の2回目だ。

2003年6月に自殺を図り、奇跡的に一命をとりとめたシュラム氏は、その後半年間で驚異的な回復を見せる。アルコールと薬物依存から抜け出すために、まず行ったのは「引っ越し」。マンハッタンでのぜいたくな生活を捨てることだった。(聞き手は作家・コンサルタントの佐藤智恵氏)

スタンフォード大学経営大学院 J・D・シュラム氏 Courtesy of Stanford GSB

スタンフォード大学経営大学院 J・D・シュラム氏 Courtesy of Stanford GSB

すべて順調だったのになぜ?

佐藤:2002~2003年当時、シュラム先生は公私ともに順調な人生を送っていたように見えます。ニューヨーク大学経営大学院でMBAを取得したり、ニューヨーク大学で教職の仕事を得たり、アパートの売却に成功してもうけたお金で、マンハッタンに新しいアパートを購入したり……。そんな中、なぜ自殺を図ったのでしょうか。

シュラム:良いことと悪いことの両方が一度にふりかかってきたからです。おっしゃるとおり、確かに当時の私は、公私ともに順調だったかもしれません。でもその裏で実はつらいこともたくさん起きていたのです。

佐藤:シュラム先生の人生に、あらゆる出来事が集中して一気に押し寄せてきたわけですね。

シュラム:そうです。2002年にニューヨーク大学経営大学院でMBAを取得後、同校の兼任教授に就任しました。大学院で学生にコミュニケーションを教えるなんて、私にとっては願ってもない機会でした。ところが、そんな理想的な仕事に就けたのにもかかわらず、働き始めてから半年ほどすると、私はアルコールと薬物依存に悩まされるようになってしまいました。それには2つのきっかけがありました。

1つは、私が同性愛者であることが原因で、ある教育関連会社の社長に就任できなかったことでした。「この会社の社長を探している」と声がかかったときは、本当にうれしく思い、転職する気満々で面接に臨みました。ところが、途中まで私は最有力候補として残っていたのに、最後の最後でノーと言われてしまったのです。私にはこの仕事をするのに申し分ない資格もスキルもあるのになぜ……。その理由を調べてみると「私が同性愛者であることがネックとなって就任が見送られた」という事実が判明しました。いわれのない差別によって転職の機会を奪われた私は失意のどん底に突き落とされました。

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