積立王子が一喝 「みんなの危機感は甘すぎるぞ!」積立王子のヤング投資入門(1)

なぜそんなことが言えるのか。なぜならこの国には、いまだ顕在化せずにあるもっと深刻な社会構造上の課題が山積していて、現在の一見安定しているような社会は決して継続的ではあり得ないと断言できるからです。

少子高齢化の進行、社会保障コストの増大、そして累積する政府債務問題などの事象を知らない人はいないでしょう。それでも今の日本社会全体に世代を問わず欠落しているのは、近未来に顕在化せざるを得ない、国家の根幹を揺るがすほどの問題に対する「危機意識」なのです。

経済的不安の克服には「経済的自立」しかない

改めて申し上げます。今を前提に未来予想図を描いているなら、それは単なる希望的観測にすぎません。むしろあらゆる社会システムが今より劣化していくことを想定して、自らの将来における外部環境悪化に対する人生防衛手段としての行動規範を定め、今から行動すべきなのです。

50代以上の親世代までは、よって立つ社会が経済成長を前提としたいわば「上りのエスカレーター」だったため、そこに乗っている人は皆相応に豊かになれたわけですが、ヤング世代がよりどころとするこれからの日本社会は、ともすれば「なだらかな下りエスカレーター」だと覚悟すべきです。より豊かな人生を得るためには、自分自身の足を動かして階段を一段ずつコツコツ上っていくしかない、と認識すべきでありましょう。

親世代がヤングだった頃、20世紀の終盤には日本経済は奇跡の成長を遂げて、生活者みんなが相応に豊かになる「一億総中流社会」を実現しました。そうした環境の中では、人並みに生きることが是とされ、周囲から突出しないことが美徳とさえ考えられていました。しかし、経済成長を前提とできない現在のヤング世代は、さらなる豊かさを得るためには突出して行動することが必須であり、もし行動せず立ち止まったままでいたら、将来の結果は大きく違ってしまうことでしょう。よって立つ社会は下りエスカレーターなのですから。世間はこれを「格差社会」と呼びたがりますが、筆者はこのように行動した人としなかった人の結果が違ってくる今後の世の中をこそ、健全なる「適者生存社会」だと考えています。

今回はわざと厳しいことを書きました。社会全体がより豊かになる未来を思い描けないヤング世代には、漠然たる不安があって当然であり、それは何よりも「経済的不安」であるに違いありません。筆者にもよく分かります。しかしその不安を克服するためには、「経済的自立」を獲得するしかないのです。そして行動すべき手段はひとつ、自らのお金を、将来に向けて大きく育てていくことだと気付いてください。それが「資産育成」です。

これから月1回、誰でも実現可能な資産育成を、「長期・積立・国際分散」という3つの原則でかなえる投資の方法について一緒に学んでいきましょう。この3原則こそが、これからの日本社会を生き抜くヤング世代に必須な行動規範なのです。

中野晴啓
セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。NPO法人 元気な日本をつくる会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。
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