織田信成さんと鈴木明子さんが描く 引退後の「挑戦」フィギュアスケートの後進に伝えたいこと

――鈴木さんは講演会で話をする機会も多いですね。

鈴木 選手のときは、しゃべるのはインタビューぐらいでした。自分が講演会で人に話をするなんてことは想像できなかったですね。でも、スケーターが滑るためにはリンクが必要だけど、しゃべることは全国どこでもできると思ったら、可能性が広がります。やりがいを感じながら、楽しくやっています。

織田 講演会の女王と呼んでいますよ(笑)。

――2人ともテレビや講演会の仕事をしていて、緊張しているようには見えませんね。

織田 いや、むちゃくちゃ緊張していますよ。フィギュアスケートのプログラムは何度も練習してきたものを本番で出しているから大丈夫です。練習してきた自信がありますからね。でも、テレビのバラエティー番組でのトークは何が起こるのかもわからないので、常に「対応できるかな」という緊張感がありますよ。

鈴木 いや、臨機応変じゃないですか(笑)。

鈴木明子さん

――鈴木さんは講演会では90分ぐらい話をするそうですね。

鈴木 スケートの演技は長くても、男子はフリーで4分半。女子は4分ですね。講演は90分間ずっと(聴衆を)引きつけていないといけないから、最初は出せるものを全部出して、終わるとヘロヘロでした。エネルギーが必要でしたね。今は対話するように講演できるようになり、話し終わってから「今日は楽しかったな」と思えるようになりました。

――今のキャリアを築くときに現役時代の経験が生きていると思いますか。

織田 現役時代、何ごとにもポジティブに臨もうという気持ちでやってきました。失敗もたくさんありましたが、しっかりと反省し「次は頑張るぞ」と、すぐにポジティブな気持ちに切り替えてきたことは、今の仕事にも生かせているかなという気がします。

鈴木 フィギュアスケートは練習で1回も失敗していないところなのに、本番で失敗しちゃうこともあります。でも、自分があきらめなければ、最後まで滑ることはできます。最後まで滑るためには、自分で立て直すしかないのです。「もうだめだ」と思うのも、「最後まで頑張ろう」と思うのも自分次第。今の仕事をしていても、自分があきらめなければ「失敗しても、立ち上がるぞ」という気持ちになれます。

――若い世代と接するときに、どんな助言をしているのですか。

織田 教えている生徒はみな一生懸命なのですが、オフの部分も必要です。それが頑張り屋さんたちは難しい。だから「頑張りすぎているな」と思う生徒がいたら、「休んでいいよ」と言うようにしています。

鈴木 今の世代は技術的に難しいジャンプをすることを小さいときから求められています。でも、フィギュアスケートは滑るという基本が一番大事。地味な練習だから飽きてしまうかもしれないけれど、「スケーティングの技術はどんなときにも変わらないから、身につけておくと役に立つよ」と説明しています。

今こそ始める学び特集
今こそ始める学び特集