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言葉の壁越える好機 「通訳ボランティア」講座が盛況 アスリート向けも、キャリアアップの武器に

2017/4/13 日本経済新聞 朝刊

ボランティア通訳ガイド養成講座で外国人観光客に英語でガイドをする練習をする参加者(東京都新宿区)

 政府が掲げる2020年の訪日外国人目標は4000万人。五輪・パラリンピックは、TOKYOが真の国際都市に脱皮する好機だ。そのために越えなければいけないのが言葉の壁。世界を迎える準備が進んでいる。

 「日本の良さを知ってもらうには、まずはスマイルです」。英会話のイーオン(東京・新宿)が15年4月にスタートした「ボランティア通訳ガイド養成講座」が人気だ。

 一般受講料は各4時間の授業を3コマ受けて約6万円(教材費込み)。決して安くはないが、開講中の第9回の募集まで定員(各回50人)が全て埋まった。

 授業は通常の英会話レッスンとは一風変わった内容だ。訪日前の外国人とのプランを打ち合わせる英文メールの書き方や、外国人から多い質問の想定問答を練習する。「富士山は1日で登って下山できますか」「メイドカフェって何?」「築地で朝のセリを見学したいんだけど」

 受講生に目立つのは女性やシニア世代の姿。昨年末で退職したという田中弘さん(64)は「五輪に向けて外国人もどんどん増える。せっかく日本に来てくれるのだから思い出をつくってほしいし、大げさな言い方だけど自分も五輪に関わったことになればうれしい」。

 大会組織委員会と東京都は、来夏からボランティアの募集を開始する。競技会場や選手村などの大会施設に加え、空港や駅、観光名所なども含めて配置するボランティアは9万人。その他にもドーピング検査員も英語が必要だ。大会会場を持つ地方自治体も、独自にボランティア養成に動き始めている。

アイスホッケーU18のセレクションキャンプで英語レッスンを受ける選手たち(北海道・苫小牧)

 語学力を求められるのはボランティアだけではない。イーオンが日本ラグビーフットボール協会と、スウェーデン発祥の語学教育企業、イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン(EF、東京・渋谷)は日本アイスホッケー連盟とそれぞれ選手向けの英会話レッスンの提供で契約した。EFは東京大会のスポンサーで、組織委の職員やボランティアの語学教育も請け負う。

 アイスホッケー連盟には、昨年4月から24時間受講できるオンラインレッスンの提供を開始。若手女子選手を集めた合宿に講師を派遣、レッスンも行った。

 来年の平昌冬季五輪出場を決めた女子代表「スマイルジャパン」の鈴木世奈(25)は週5回、スカイプを使ったレッスンを受けている。「海外でプレーしようと思ったら、英語は絶対に必要。試合中の指示なども早く理解できるし、仲間に自分のことを知ってもらわないといけない」

 トップアスリートほど海外遠征は多くなり、監督やコーチが外国人である場合も増えてきた。選手自ら契約交渉の場に臨む機会もある。コミュニケーション力が競技者としてのキャリアアップにも直結する。

[日本経済新聞朝刊2017年4月13日付]

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