積立NISA 金融庁がアクティブ型にダメ出しの理由QUICK資産運用研究所 北澤千秋

まず、多様なアクティブ型をひとくくりにして、インデックス型と比較するのは少々乱暴だ。アクティブ型には紋切り型で「市場全体の値動きを上回るリターンをめざす」と枕言葉が付くが、実際には、例えば日本株投信なら東証株価指数(TOPIX)につかず離れずでよしとする、「アクティブもどき」が多い。

そうした投信が高い報酬を取れば、運用成績が長期でインデックス型に劣るのは当然だ。投資対象として排除すべきはこれら「もどき」であって、運用実績のあるアクティブ型を同一視すべきではない。厳しい残高基準などで単純に切り捨てるのは意味がない。

バランス型を中心に、ここ数年はあえて市場平均を上回る運用成果を「めざさない」アクティブ型も増えている。インデックス型は市場並みのリターンを得るために、市場並みのリスクを背負う宿命がある。それほどのリスクは負いたくないという人に向けた、リスク抑制型の投信だ。

積立NISAの利用者は20歳代、30歳代ばかりとは限らない。子育てや住宅ローンの支払いをようやく終えて、50歳代から退職後の備えを始める人も多いはず。期間が10年程度の中高年層の運用では、いったん株式相場が暴落すると、期間中には回復が見込めない恐れがある。大きなリスクを負えないそんな人には、少しコストがかさんでも、低リスクで安定的なリターンをめざすファンドの方が向いている。

失われていく市場のダイナミズム

金融庁が一押しするまでもなく、日本の株式市場ではコストの低いインデックス連動の運用が年を追うごとに増えている。

公募株式投信をみると、アクティブ型の残高は14年の約60兆円をピークに足元では55兆円程度に減少したのに対し、指数連動上場投信(ETF)とインデックス型投信の合計残高は直近で約30兆円と、14年から7割以上増加した。最大の要因は日銀によるETF買いだが、日銀分を除いても増加率は3割を超える。投信に公的年金、企業年金を加えれば、日本の機関投資家の日本株運用は、すでに残高の過半をインデックス連動が占めていると思われる。

インデックス運用の存在感が増して懸念されるのは、株式市場のダイナミズムがさらに失われていくことだ。インデックス運用は企業価値を高める企業も破壊している企業も分別せずに買い、ダメな企業を見極めて売るという企業選別の手段も放棄している。いったん上場してしまえば、よほどのことがない限り退出を求められない規律の緩い日本の株式市場では、ますます企業を選別淘汰する機能が低下しかねない。

もっとも、金融庁はこうした議論は承知のうえで、積立NISAの対象ファンドを決めたフシもある。先のワーキンググループの報告書が「(我が国の投信は)積立NISAの導入を一つの契機に顧客本位に変わっていく必要がある」と結んでいるように、金融庁は積立NISAを突破口に、投信市場のあり方そのものを大きく変えようとしているからだ。今回は変革を促す象徴として、アクティブ型に厳しいダメ出しを下したと受け止めたい。

「顧客本位」を促す金融庁の主張に、投資家サイドは異論がなかろう。ボールを投げられた運用会社と販売会社は、「金融庁の主張はこの点が間違っている」と、一つ一つ反証を積み重ねていくしかない。

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