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長期で安定運用 制御すべき3つの要素(窪田真之) 楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

2017/4/11

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「個人投資家でも、プロのファンドマネジャーでも変わることのない運用の法則がある」

 最近、個人投資家の方から「資産運用の知識を得るには、どんな勉強をしたらいいですか?」という質問を受けました。いろいろな本を読んだが、どうもしっくりこないとのことです。私はその方に、「あまり複雑に考えずに、シンプルに3つの要素だけ考えて、投資方針を決めたらいかがですか」とお話ししました。

 個人投資家でも、プロのファンドマネジャーでも変わることのない運用の法則があります。その前に、投資の成果はどうやって得られるのかを考えてみましょう。私は、投資成果は以下の要素に分解できると思います。つまり、

 「投資成果」=「期待リターン」-「リスク」-「コスト」です。

 期待リターンは、メインシナリオが実現したときに得られるリターン、つまり自分が思い描いている未来がそのまま実現したときに得られるリターンです。

 リスクは、想定外のリスク、つまり逆に自分が思い描いていなかったリスクシナリオが実現したときに発生する損失です。

 コストは、株式や投資信託などの売買手数料に加え、投信の保有期間にかかるコスト(信託報酬)です。

■運用コストが高いと全体のパフォーマンスは悪い

 私は年金や投資信託を運用するファンドマネジャーを25年間やっていました。投資判断に迷うとき、常に上記の式の3つの要素を考えて決めていました。それは3つの要素をうまく制御しないと長期で安定的な資産形成を実現できないからです。

 例えば、リスクが高い運用をする場合、メインシナリオが実現したら大もうけできてハッピーですが、そうでない場合は大きな損失を被り、すべてが台なしになってしまいます。これではコストを多少抑えたとしても意味がないわけです。リスクが低い運用をする場合は、メインシナリオが実現しても利益はそこそこですが、そうでない場合であっても損失は限られます。しかしながら、コストが高い運用をしてしまうと、すべてにおいて全体のパフォーマンスは悪くなります。

 個人投資家でも、自分の判断で投資している人は3つの要素をよく考えています。ところが、投資判断を人任せにしている人は3つの要素を考えていないことがあります。具体的にいうと、期待リターンだけ見て、リスクやコストを考えない投資家です。

 投資家に分配金を毎月払う、毎月分配型の投信が高い人気を保っているのに、私は疑問を感じます。すべての毎月分配型ファンドが問題というわけではありませんが、今人気の毎月分配型ファンドのほとんどが、コスト(販売手数料・信託報酬)が高すぎて、長期投資に向かないと考えています。

■毎月分配型の投信は商品としてあまり魅力的ではない

 毎月分配型の投信のひどい例では、運用の3つのチェック項目すべてで疑問符がつくものがあります。すなわち、

 (1)期待リターンを間違っている(元本の払い戻しで捻出している分配の利回りを運用による利回りと勘違いしている)

 (2)リスクの取り方を間違っている(新興国債券や通貨への投資で高いリスクを負っているのに投資家が理解していない)

 (3)コストが高すぎる(すべてではないが、高すぎる投信が多い)

 以上を踏まえると、毎月分配型の投信はリスクやコストが高すぎて投資商品としてあまり魅力的ではないと思います。

 個人投資家が過大なリスクを負わないためには

 (1)コストがなるべく小さい投資商品を選ぶ

 (2)高リスク・高リターン型の運用商品と、低リスク・低リターン型の運用商品を適切な比率で組み合わせて投資する

 (3)自分が得意としている分野で積極的にリスクを取るのはいいが、自分が不得意な分野ではリスクを取らない――といった対応をすべきです。

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