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三菱の消せるペン 「フリクション超え」のボタン機構

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日経トレンディネット

三菱鉛筆が2017年1月27日、ノック式の消せるボールペン「ユニボール アールイー」を発売した。

ノック式の消せるボールペンといえば、2010年に発売されたパイロットの「フリクションボールノック」が知られている。パイロットは、2007年に先駆けてキャップ式のフリクションボールを発売しているが、ノック式の発売で大きく売り上げを伸ばした。日本の場合、ボールペンはノック式のほうが圧倒的に人気なのだ。

一方、三菱鉛筆は、2010年に消せるボールペン市場に参入したものの、キャップ式だった。つまり、今回発売になったユニボール アールイー(以下、アールイー)は、ついに登場した"フリクションボールのライバル"といっていい。

シャープペンシルで書いた文字を消す場合、ペンのお尻のキャップを外してその中にあるラバーでこするのが普通だ。この、多くの人が慣れている操作を再現するため、ノック式ボールペンのアールイーでは、尻軸にラバーとノックボタンの両方を配置。書くときはボタンをノックできるのに消すときはラバーが引っ込まない構造を開発した。

フリクションボールの場合、消す機能を担うラバーを尻軸に配置するために、同じ場所にノックボタンを付けるのは難しいと判断して、ノックボタンの代わりにクリップを押す形にしている。ペンの操作としてはやや特殊になった。これに対して、三菱鉛筆はノック式ボールペンの操作を大事にしたわけだ。

また、消せるインクも新たに開発。インク色はオフブラック、ローズレッド、コバルトブルー、バイオレット、グリーン、サンオレンジ、チェリーピンク、スカイブルーと8色をそろえた。ゲルインクボールペンの新製品ならば、このくらいのインク色がそろうのは当たり前、ということなのだろう。また、ビジネスユースだけではない広い範囲で使ってもらいたいという考えもあるようだ。

引っ込まないノックボタンは「書く」ことへのこだわり

「3年前、ノック式の消せるボールペンの開発が始まったときにまず考えたのは、『消せる』以前に、普通のボールペンとして使い勝手が良いものにしたいということでした」と、開発の経緯を話してくれたのは、三菱鉛筆横浜研究開発センターの並木義春氏。

「消せる」ことを重視したフリクションボールに対して、アールイーは、ボールペンとしてスムーズに書けることをまず優先。そのうえで「消すためのラバーをどこに付けるかについても、ペン先に付ける、クリップに付けるなどの可能性を探りました。ペン先だと消すときに一度芯を引っ込めて、また使うときに出してと、ワンアクション増えてしまう、などと細かく検証しました」(並木氏)。

その結果、やはり尻軸にラバーがあるのが操作性が良いという結論に達したという。並木氏は「ノックボタンをノックして書く」という誰もが慣れている操作と、そのノックボタンに付いているラバーで文字が消せる、つまり、ノックボタンが引っ込まずに安定して文字をこすって消すことができるという機能を両立させるメカニズムを考えた。

「シャープペンシルと違ってボールペンはリフィルが本体の80mmくらいまで来るので、残った30mmの中にラバーが引っ込まないメカニズムを入れなければいけないんです。とにかくスペースがない。それで、いろいろと試した結果、リフィルの周りを囲むような形のメカニズムにすることにしました。そうすれば、ペン自体の長さや太さをあまり変えずに、普通のボールペンの形状のまま、メカニズムを組み込めると考えたんです」と並木氏は話す。

ノックはできるのに消すときは引っ込まないノックボタンの構造が生まれるまでの試行錯誤の跡を見たが、試作品はかなりの数。なかには3Dプリンターで作った、メカニズムが実際に動くモデルもあり、その苦労が偲ばれた。

そうして出来上がったのが、ギザギザの付いたパイプが軸内をスライドする方式だ。

ペンが下や横を向いている状態では、パイプは下側にあるが、ペンを上に向けるとパイプが尻軸側にスライドする。ギザギザがノックボタン下部のメカニズムに当たると、ノックボタン側のメカニズムが回転してロックがかかるという仕掛け。ペン先を下に向けると、ギザギザのパイプが下に下りてロックが解除され、ノックボタンを押すことができるわけだ。

「このメカニズムを考えた段階で、ノック式の消せるボールペンが実現できると思い、そこからインクや素材選び、デザインなどを本格的に始めました。ここまで1年くらいかかりました」と並木氏。製品がほとんど完成するというころに、ゼブラから「デルガード タイプER」が登場した。ゼブラのひっくり返すと消しゴムが現れるメカニズムを見て、「構造も意図も違うが、自分がやっている方向は間違っていない」と並木氏は勇気づけられたという。

手に取ってもらうために種類の豊富さにこだわった

8色そろえたインクについて、並木氏は「ファントムに比べて、かなり濃く発色するものが作れた」という。特に青系は鮮やかな良い色になったそうだ。黒は、消せるインクの性質上、真っ黒ではないため、色の名前が「オフブラック」となっているが、十分に黒い。鉛筆のようなグレーで文字を書きたい場合、もっと薄くてもいいのにと思ってしまうほど、はっきりと発色している。色によって多少変わるが、大体55~60℃で消えて、約-10℃くらいで色が戻る設定になっているそうだ。

軸のデザインも奇をてらうのではなく、普通のボールペンとして使えるシンプルなもの。最初から標準タイプ、パステルカラータイプ、ビジネスタイプ、ディズニータイプと種類をそろえ、選択肢を増やしているのが面白い。

「とにかく、まず手に取ってもらわなければならないので、その可能性を少しでも多くしたいと思って、いろいろな種類を出しました。普通に使えるボールペンとして、自然なデザインを心がけましたが、消せるということも見て分かるようにしたかったので、ノックボタンのキャップを透明にして、中のラバーが見えるようにしています」と並木氏。

ただ、ビジネスタイプだけはノックボタンを銀色にしてラバーが見えないデザインになっている。「ラバーが見えないほうがいいというお客様もおられますし、ビジネスの現場でも使えるように、ビジネスタイプはキャップを不透明にしたんです」(並木氏)

ちなみに、名前のアールイーは、「REWRITE」「REPEAT」「RETRY」などの、繰り返す、再び、何度もといった言葉に使われている接頭語の「Re」から取ったもの。「消せる」ということよりも、「何度でも書ける」「繰り返し書ける」といった書くためのものという部分を強調したかったのだそうだ。ここにも、「まず、ボールペンとして使いやすいものを」というアールイーのコンセプトが生きている。

使ってみたが、普通にボールペンとして使え、ノックの感触や持った感じも、書いていても、本当に普通に使いやすい。芯は0.5mmと細いが、文字もクッキリ書ける。そして、消すときはノックボタンのキャップを外して、後ろに付いているラバーで消したい部分をこする。このときここがノックボタンで実は引っ込むはずの場所だ、なんてことは考えずにこすっている。この動作自体、シャープペンシルでは当たり前の動きだからだろうか、自然な使い心地だ。

(ライター 納富廉邦)

[日経トレンディネット 2017年3月27日付の記事を再構成]

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