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ETF投資の実践編 リスク別3つのポートフォリオ ETFの基本から使いこなしまで(3)

2017/4/6

 例えば保守的なポートフォリオを組むなら、資産のうち40%を安全資産にします。これには証券総合口座のMRF(マネー・リザーブ・ファンド)がふさわしいでしょう。残りの60%のうち、20%で債券のETFを購入し、40%で株式のETFを購入します。これが大枠の資産配分です。安全資産を40%保有していれば、2008年のリーマン・ショックのような危機が再来しても、40%の部分は値下がりしません。この安全資産がクッション機能を果たして、ポートフォリオ全体のマイナス幅を抑えてくれます。

 さらに細かく設定をしていくと20%の債券のうち15%で先進国債券のETFを買います。残りの5%は新興国債券のETFを組み入れます。40%の株式については、日本、先進国、新興国の3つに分けます。

 「日本人だからといって日本株ETFを多くする必要はありません」とカンさん。ポイントは世界的な視野から配分をすることです。しかし、投資資金は限られています。効率よく配分するにはどうしたらいいでしょうか。

 「何か参考にするとすれば、やはり世界のGDPだと考えています。日本、日本以外の先進国、新興国のそれぞれのGDPの規模を比率にすると、おおよそ10対55対35となります。今後の世界の経済の発展にお金を託すと考えれば、GDPの比率に準じて資産を配分するのが合理的です」

 これを基準に株式の部分を配分すると日本は5%、先進国は20%、新興国は15%程度となります(図表2)。日本を中心にするという考え方からいかに脱却できるかが課題なのです。

■中・上級者は安全資産を減らしてその分、リスク資産を増やす

 このポートフォリオをベースにすれば、中・上級のポートフォリオを考えることもできます。基本的には安全資産を減らして、その分で債券や株式の比率を増やしていくことになります。

 中級者向けのポートフォリオとしては、安全資産を20%に減らして債券ETFを20%、株式ETFを60%にする方法があります。株式のうち日本は5%、先進国は35%、新興国を20%にします。債券は先進国15%、新興国5%がいいでしょう(図表3)。

 保守的なポートフォリオと比較すると、安全資産を減らした分、ハイリスク・ハイリターンとなります。

 さらに上級者向けを考えるなら、リートETFや金ETFを組み入れる方法があります。安全資産を15%にして、債券ETFを15%、残りの70%のうち、金ETFに5%、リートETFに10%を振り分けます。リートETFの内訳はJリートと米国リートに5%ずつ配分します。つまり株以外の資産で15%を保有するわけです。

 残りの55%を株式に配分しますが、日本は5%、先進国は30%、新興国は20%にします。債券は15%にしていますが、先進国は10%、新興国は5%でいいと思います(図表4)。金は世界中の経済が信頼性を失ったときに力を発揮します。「ヘッジ資産の1つとして金ETFをほんの少し持つことは、意味のあることだと思います」

COLUMN リレー投資ってなに?

 インデックスファンドで積み立て投資をして、ある程度の資産が蓄えられたらETFに買い替える方法をリレー投資といいます。ETFよりもインデックスファンドの方が積み立てはしやすいというメリットがありますが、信託報酬はETFの方が低くなっています。投資コストを下げるために資金がまとまったら、ETFに乗り換えるという方法です。
 「以前は信託報酬の差が大きかったので効果はありましたが、いまはそれほど差がないので魅力が薄れていると考えます」とカン氏。
 さらにETFの課題でもあった積み立て投資への対応も、家計の安定的な資産形成に資するよう、金融審議会においても改善策について検討しています。近い将来、ETFでも容易に積み立て投資が実現する可能性が高まってきました。「その意味でもリレー投資の役割はすでに終わっているといっていいのではないでしょうか」

「ETF(上場投資信託)まるわかり! 徹底活用術2017(日経ムック)」の記事を再構成

ETF(上場投資信託)まるわかり! 徹底活用術2017 (日経ムック)

著者 :
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,000円 (税込み)

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