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長期投資は「複利」を味方に バフェット氏も成功体験 毎月分配型の投信は利点生かせず

2017/4/15

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 長期投資では「複利」を味方につければ、お金を大きく増やすチャンスが広がります。利益がさらに利益を生んでいく複利の効果の大きさは、物理学者アインシュタインが「人類最大の数学的発見」と言ったとされるほどですが、個人投資家には過小評価されがち。むしろ複利効果が働かない金融商品が売れ筋になっている実態もあります。

■複利、金利を元本に上乗せ

 米国の著名な株式投資家ウォーレン・バフェット氏(86)の成功も、優良銘柄を長く持って複利を味方につけたことが一因です。資産運用アドバイザーの尾藤峰男氏は「バフェット氏の資産のほとんどは50歳以降の三十数年間で形成された。複利のとてつもない効果が表れている」と指摘します。

 複利の基本的な仕組みをおさえておきましょう。100万円の元本を年5%の金利で運用すると、1年目に5万円の金利がもらえます。その金利は元本に上乗せされ、2年目は合計105万円から運用が始まります。2年目にもらう金利は5万2500円に増え、それがさらに3年目の元本に上乗せされます。

 これを繰り返すと、元利合計は10年で163万円、20年で265万円、30年で432万円と雪だるま式に増えていきます。元利合計を1.05倍にするかけ算の繰り返しで、運用期間が長くなるほど増え方が大きくなります。一方、同じ金利5%でも金利が元本に上乗せされない単利運用は年5万円ずつの足し算ですから30年たっても元利合計は250万円にとどまります。

 では、複利効果を生かすにはどんな方法があるのでしょうか。株式の場合、もらった配当金でその株式を買い増す「再投資」をすれば、その分だけ株数が増え、配当利回りを複利にすることができます。「米国には配当金を自動的に再投資するDRIPという制度を設ける上場会社があり、多くの個人株主が利用している」(尾藤氏)そうです。

■毎月分配型、複利の利点生かせず

 日本では、毎月分配金が出る投資信託が売れ筋になっていますが、投資助言会社イデア・ファンド・コンサルティングの吉井崇裕社長は「運用の元本を減らしてしまう分配金は複利の天敵」と警鐘を鳴らします。元本を取り崩して分配金を出すような毎月分配型ファンドでは複利の効果が働かないからです。

 複利を生かしやすいとして吉井氏が勧めるのが、株式ファンドのうち、値動きが株価指数に連動するインデックス型です。長期でみて期待利回りが高いうえ、運用期間中ずっと資産から差し引かれ続ける信託報酬という手数料が比較的安いからです。信託報酬の負担は長期になるほど、マイナスの複利効果が働いて運用の重荷になります。

 投資優遇税制にも目を向けましょう。少額投資非課税制度(NISA)や確定拠出年金(DC)では、売却益や配当金に通常かかる20.315%の税金が非課税になり、再投資による複利効果を最大限に生かすことができます。

 行動経済学によると、人間には長期の利益よりも目先の利益をより重くみる「双曲割引」という傾向があります。これを肝に銘じ、長期の視点で複利を味方につけることが資産運用では重要です。

[日本経済新聞朝刊2017年4月8日付]

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