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南米で新種ヘビ3種を発見 1種は「冥界の番犬」

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/4/8

ナショナルジオグラフィック日本版

エクアドルから発表された新種のヘビ3種の1つ、Atractus pyroni。新種を報告する論文に使われた正基準標本だ。 (Photograph courtesy Alejandro Arteaga)

 ヘビの中で最も多様なサンゴヘビモドキ(Atractus)属に、新たに3種が加わった。そのうちの1種には、ギリシャ神話に登場する冥界の番犬「ケルベロス(cerberus)」の名が与えられた。

 そのAtractus cerberusはこれと言って印象的な姿をしているわけではない。体の色は茶色と黄色で、長さは30センチほど。生息地は南米エクアドルにあるパコチェ野生生物保護区で、境界付近の森の岩や倒木の下に隠れるように暮らしている。

 しかし、生息地からわずか数キロ先では、大規模な石油精製所の建設が2008年から始まっていて、約500ヘクタールもの森林が伐採され、丸裸になっている。この荒れ果てた光景を見て、研究者たちは黄泉の世界を思い浮かべた。ギリシャ神話のケルベロスと同じように、この新種のヘビも地獄に通じる門の番をしているのだと。

 Atractus cerberusを含めた新発見の3種は、すべて体色が茶色や赤みがかった中南米原産のサンゴヘビモドキ属である。この属のヘビは、人目につかないような場所でひっそりと生息しているため、長い間、科学者たちも研究できていなかった。

■地味な色合いの地下生活者

 「確かに、未知のものは人を引きつけるもので、サンゴヘビモドキ属も最も興味深いヘビのひとつです」とエクアドルの爬虫(はちゅう)類学者で、この新種の共同発見者であるアレハンドロ・アルテアガ氏はメールで述べている。「サンゴヘビモドキ属は小型で隠れるように暮らしていて、特定が難しく、多様で、研究は進んでいません。そのため、新種が発見される機会がほかのヘビより多いのです」

 こうしたヘビたちは外見にこれといった特徴がなく人気者になりにくい、と言うのは米ジョージ・ワシントン大学の爬虫類学者で、ナショナル ジオグラフィックが支援するアレックス・パイロン氏だ。彼はこの研究論文の共著者ではないが、資金援助を行った。

「ハーレクインカエルやダーウィンフィンチには何百もの種があって、どれも鮮やかで派手な見た目をしています。こうした生物についてなら、生物学の入門クラスで習います」と言う。「一方、サンゴヘビモドキ属は多様性という点ではまさにトップクラスに入りますが、すべて地味な色で、地下で生活しているため、ほとんどの人の関心を引かないようです」

 実際のところ、サンゴヘビモドキ属は地球上で最も多様なヘビで、140種が含まれる。さらに、未知の種もいるのは確かだ。過去10年だけで、新発見の33種がこの属に加わっている。

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