マネーコラム

身近なマネー研究

年収300万円のシングル母 子供の大学進学は現実的? 人生まるごとシミュレーション(4)

2017/4/11

PIXTA

 長い人生、気になるお金。できることなら、将来のマネープランを見通せないものか――。マネー研究所は、金融機関向けのソフトウエア開発などを手掛けるAFGの協力の下、実在する企業の給与や退職金、年代別の生活費、家賃、年金などの各種データを用いて試算。誰もが気になる「人生にまつわるお金」を、リアルなデータに基づいて明らかにする。4回目のテーマは離婚。年収300万円強のシングルマザーが子供1人を大学まで通わせられるかをシミュレートした。

◇      ◇

 結婚4年目を迎えた亜弥(30歳)。夫の達也(33歳)と2歳の息子、優斗と暮らしています。亜弥は最近、家庭に協力的とは言えず、金使いも荒い達也に不満を募らせつつあります。「いっそのこと、私ひとりで優斗を育てた方がいいんじゃないのかしら……」と、離婚を考えるようになりました。

イラスト:PIXTA(以下同じ)

亜弥 佳奈、久しぶり~! 今日は来てくれてありがとね。ちょっと相談したいことがあって。

佳奈 亜弥の頼みなら断れないわ。で、相談って何かしら?

亜弥 実は最近、離婚しようかなって思い始めてるの。達也、共働きなのに家事は全部丸投げしてくるし、お金もあるだけ使っちゃうし……。優斗が生まれてちょっとは変わるかな?って思ったけど、ぜんっぜん家庭を顧みてくれないの。ずっと「ワンオペ育児」してたら、もういっそのこと私ひとりで育てた方がいいんじゃないかなって思えてきてね。

佳奈 そう……知らなかったわ。大変だったのね。

亜弥 でも、私の稼ぎで優斗をちゃんと育てていけるのかなって……。できれば大学までは行かせたいけど、資金が足りるかどうか不安なの。佳奈、離婚しても生活が成り立つかどうかをシミュレーションしてもらえないかな。

佳奈 わかったわ。じゃあ、達也さんと亜弥の年収、現時点での貯蓄額を教えてもらえるかしら。あと、離婚後の住まいは賃貸か、それとも親元で暮らすのかとか、そういった条件も教えてくれる?

亜弥 えーっと、年収は達也がだいたい570万円、私は300万円ちょっと。貯蓄は400万円くらいかな。離婚したら、親にはひとまず頼らないで、いまの会社に通えるくらいの場所……都内か横浜・川崎あたりで賃貸を探すつもり。家賃は頑張っても月7万円くらいまでかなあ。離婚するとしたら来年かなって思ってる。

佳奈 うん、ありがとう。じゃ、ちょっと待っててね……はい、お待たせ。

亜弥 わっ、相変わらず、仕事早いね。で、どうかな? ちゃんと生活できそうかな?

佳奈 そうね……結論から言えば、ラクじゃないわね。ただ、いくつか条件をクリアすれば何とかなるわ。

亜弥 条件って?

佳奈 (1)達也さんから養育費を確実に受け取る (2)当面の支出は月25万円までを目安に (3)必要に応じて奨学金を受給する――の3つよ。じゃ、詳しく見ていきましょう。

◇      ◇

佳奈 まずは養育費ね。たとえ離婚しても、親には子供を育て、教育を受けさせる義務(扶養義務)があるわ。子供が自立するまで、その費用を収入に応じて負担するというのが養育費よ。支払い(受け取り)期間は、一般には子供が20歳になるまで。最近は大学卒業の22歳までとするケースが増えているようね。

亜弥 私たちのケースだと、どのくらいの金額になるのかしら?

佳奈 東京家庭裁判所が公表している「養育費・婚姻費算定表」を見ると、達也さんと亜弥のケースでは月額4万~6万円ね。今回は仮に月5万円を、優斗くんが22歳になるまで受け取れるとしたわ。もちろん、養育費はお互いの話し合いで金額を変更できるものなので、そこは変わる可能性もあるけど。

亜弥 そっか。でも、ちゃんと払ってもらえるのかな?

佳奈 厚生労働省が2015年4月に公表した資料「ひとり親家庭等の現状について」によると、母子世帯の養育費の受け取り率は19.7%で、残念ながら2割を切っているわ。そもそも養育費のやり取りを合意した率(取り決め率)も37.7%と低い水準よ。

亜弥 うーん、厳しい数字ね。

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