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2020年までにGM(総支配人)の30%を女性にするという目標を掲げている米ホテル大手のヒルトン。当面の目標は、2017年までに女性GM比率を20%にすることだという。日本では現在、13ホテルを傘下に持つが、女性GMは「ヒルトン沖縄北谷リゾート」のレイチェル・デイビットソン1人だけ。いったいなにが日本人女性の昇進・昇格を妨げているのだろうか。ヒルトン日本・韓国・ミクロネシア地区運営最高責任者、ティモシー・ソーパー氏に聞いた。

◇   ◇   ◇

女性化が進む、世界のホテル業界

――世界のホテル業界は「女性化」が進行していると聞きました。

「ホテル業界で働きたいと応募してくる70%は女性です。にもかかわらず、ミドルマネジャーの70%は男性。昇進・昇格していく過程のどこかで男女比率が逆転し、女性が消えていってしまう現象が起きているわけです。この傾向は日本では特に顕著で、ヒルトンとしては、もっと日本の女性たちにもリーダーシップの役割を担ってほしいと考えています」

「とはいえ、法律や社則で縛るのは好みません。私たちはなにも、経済成長や日本政府の政策にしたがってそうしているわけでもない。これは第三者の調査機関によって明らかになっていることですが、経営層の間ではすでにジェンダーバランスがある方が組織の運営が効率的かつ業績も良くなるという考え方が浸透しています。そうした考え方に基づき、私たちもより多くの優秀な女性を引き上げる努力を続けています」

必要なのはミドルの意識を変えていくこと

――実際、どのような理由で女性が昇進・昇格しにくいとお考えですか。

「1つはミドル層の意識に問題があると思います。いわゆるマネジメント層にあたる人たち、これは確実に女性にもっと昇進の機会を与えるべきだと思っています。若い人たちも同様。しかし、スーパーバイザーや料理長、フロントデスクなど、年齢で言うと40歳から45歳くらいに相当するミドルマネジャー層の人たち。このあたりがまだ、なぜ女性のリーダーシップを増やすべきなのかについて、十分、腑(ふ)に落ちていないような気がします」

「彼らが入社してきた約20年前はまだそれほど女性も活躍していませんでしたし、女性はそもそも腰掛けで入社し、出産したら辞めていくものだという認識も広く残っていました。価値観としてそうあるべきだと考えているというよりも、そういう現実が長く続きましたので、急に『女性のリーダーを増やそう』と声をかけても、なぜそうすべきか、がわからない。結果として、40歳代を中心にいまだ男性支配的な環境が残っているということが言えると思います」

「加えて、外国人の視点からあえて申し上げると、女性の側にも問題があるような気がしてなりません。日本人の女性は謙虚で礼儀正しく、奥ゆかしい。これは一種の美徳です。しかしことビジネスシーンで上を目指そうとする場合、この美徳は弱点にもなります。『上に空きができたから目指してみたら?』と持ちかけても、『いえいえ、私などとても』と謙遜し、『自信がない』と遠慮する。揚げ句、『私より誰それさんの方がふさわしいのでは』と別の人を推薦してくることもある。もはや疑問を通り越してあきれてしまいます」

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