定年まであと10年 教育費「かけ過ぎ貧乏」にご用心家計再生コンサルタント 横山光昭

ネットで生活用品を買う機会も多いそうですが、送料を無料にしたいため、つい買いすぎてしまうそう。宅配してもらったほうが便利な重たいものの買い物は、月1度にまとめるなどしました。

水道光熱費は水道の使い方を見直しました。流しっぱなしにしないという最低限の取り組みはもちろん、入浴よりもシャワー浴が多いそうなので節水シャワーヘッドを導入し、水道代とガス代を削りました。通信費は格安スマートフォンに切り替えました。固定電話やインターネット回線の料金も含め、支出が半減しました。

この3つの費目で3万5000円の削減です。収入や生活のペースは今後も変わらないと仮定したところ、毎月の収入から8万円、ボーナスから年間70万円貯蓄できることになりました。つまり、60歳までに1600万円以上の蓄えができます。

ただ、夫の退職金の見込み額は1000万円前後。定年時に住宅ローンは完済の予定なので生活費は下がる見込みですが、定年後に再就職したとしても医療費や住宅の改修費なども考えるとギリギリです。

そこで、お子さんが遊びに来たときにご夫婦の老後のお金の話などを話題にしたそうです。すると子どもたちは、「友人は奨学金を自分で返しているし、それが当たり前だと思う。自分たちはすべて親が返してくれたのだから、せめて教育ローンの返済は援助させてほしい」と、3人がそれぞれ毎月1万円返済を負担してくれることになりました。

そのため、Uさんご夫婦の毎月の支出はさらに3万円減り、毎月11万円の余剰が出るようになりました。ボーナスも合わせて順調にためれば60歳までに2000万円を超える貯蓄ができる見込みです。今後は資産運用の勉強をして預貯金と並行し、来年に始まる「積み立てNISA(少額投資非課税制度)」にも取り組んでみたいと考えているようです。

教育費と老後資金準備が重なる

特に浪費をしているわけではなく堅実を心掛けている家庭でも、教育費の支出負担は大きく、定年が見えてきてから焦ってしまう姿をよく見かけます。Uさんご夫婦はお子さんが巣立ってから10年の猶予がありますが、晩婚化・晩産化の影響で教育費がかかる時期に老後資金をためなくてはいけないケースも少なくなく、現代の家計の大きな問題になっています。

Uさんのように子どもの教育費は全部親が負担するのが当然と考えている方もいますし、教育費負担が一番重たい時期と、自分の収入が最も高くなる時期が重なることによって、ついつい過大な教育費をかけてしまう人もいます。

寿命が延びているいま、老後生活も長くなり、老後資金の必要額が増えています。そこに親や自分たちの介護が加わると、さらに家計は逼迫します。将来を見据え、時には子どもも巻き込みながら、リタイア後の自分たちの生活資金をきちんとつくってほしいと思います。それが老後、子どもや周囲に迷惑をかけないことになるのです。

「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です。次回は2017年4月19日付の予定です。
横山光昭
マイエフピー代表取締役、家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する独自のプログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌の執筆や講演も多く手掛け、「はじめての人のための3000円投資生活」(アスコム)は40万部を超え、著書累計は205万部。
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