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『タラレバ娘』最終回 選ぶ男で分かる30代の恋愛観

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NIKKEI STYLE

新年度の4月を迎えました。新たな環境や新たな人との出会いに、期待と不安が入り交じる季節といえるのかもしれません。

そんななか、「理想の人生のパートナーにあてはまると思う芸能人 1位は鈴木亮平」というニュースを目にしました。

星野源さん、高橋一生さんを上回る支持

このランキングは、メディケア生命保険が「イマドキ女子の結婚観・仕事観に関する調査2017」(調査協力:ネットエイジア)を行い、1000人のアンケート調査から「理想の人生のパートナーにあてはまると思う芸能人」を選出しています。

鈴木亮平さんは、今が旬の星野源さん(2位)、高橋一生さん(3位)を押しのけて、見事1位に輝いています。

この結果の背景には、おそらく「早坂さん効果」もあることでしょう。早坂さんとは、3月まで日本テレビ系で放送されていた人気ドラマ『東京タラレバ娘』で、主人公の倫子を優しくサポートするドラマプロデューサー・早坂哲朗のことです。

このドラマは、30歳で独身、売れない脚本家で彼氏もいない主人公・鎌田倫子(吉高由里子)と、その親友であるネイリストの山川香(榮倉奈々)、居酒屋「呑んべえ」の看板娘・鳥居小雪(大島優子)らが、大人になりきれないまま30代を迎え、「もしあの時○○していたら……」「○○していれば……」と、タラレバの発想から逃れられない「タラレバ娘」として、仕事や恋に悩む姿を描いた物語。

早坂哲朗は、倫子を取り巻く男性の一人として、坂口健太郎さんが演じる年下金髪イケメンモデル・KEYと共に登場します。

早坂を選ぶかKEYを選ぶか

最終回では、倫子が早坂とKEYのどちらを選ぶかに注目が集まりました。

ネットのタイムラインでは早坂派とKEY派に分かれたコメントであふれていましたが、総合すると「結婚相手ならば早坂派」が多かったように感じます。

倫子のことを本当に大切に思い、だからこそ彼女の気持ちを尊重して自ら身を引く優しさと男らしさ、そして真摯に仕事に取り組む安定感は、確かに「理想の結婚相手」そのものといえそうです。

そして、早坂を演じた鈴木亮平さんの穏やかで優しい笑顔に癒された女性たちも数多くいたことでしょう。

私自身もその中の一人ですが、この早坂という役柄を鈴木さんが演じたからこそ、その魅力が増したように感じます。優しさの中にある、芯の強さと男気を漂わせることのできる俳優さんは、やはり鈴木さんの他にいなかったのではないでしょうか。

鈴木さんといえば、2018年のNHK大河ドラマ『西郷どん』にも注目が集まっています。体重の増減を含め、貪欲な役作りに挑む「デ・ニーロ・アプローチ」(ハリウッド俳優・ロバート・デ・ニーロの役作り法)のエピソードを数多く持つ俳優さんだけに、おそらく、豪快な西郷隆盛も違和感なく演じることと思います。

私が鈴木さんの和製デ・ニーロぶりに感嘆したのは、2015年に放送されたドラマ『天皇の料理番』(TBS系)で、病に伏す役作りのために20kg減量し、手足が極細になり頬も異常に痩せこけた姿を目にした時でした。

しかし、その直後には映画『俺物語!!』(2015年)の撮影に向けて、わずか40日間で30kgの増量にチャレンジし、一気にオスゴリラの風貌へと変身。『俺物語!!』は個人的にも大好きな作品ですが、この短期間での豹変(ひょうへん)ぶりには圧倒されてしまいました。

実は、今から7年前に鈴木さんに単独インタビューさせていただいたことがあります。

鈴木さん初の主演映画『ふたたび swing me again』(2010年公開)についてのインタビューで、この映画が公開された当時、「俳優・鈴木亮平」の名前は、まだそれほど世に知られていませんでした。

鈴木さんは初主演の力みもなく、大学生役を自然体で演じており、共演したベテラン俳優・財津一郎さんも「彼は演技が自然ですばらしい。今後が楽しみな役者だ」とコメントするほど、早くもその才能を発揮していました。

その財津さんの高評価について、鈴木さんに直接お伝えすると、「いや、自分はまだまだですし、褒めていただけるほどではありません。華やかな活躍を意識しすぎずに、自分にしか表現できない俳優を目指して、地に足をつけて芝居と向き合っていきたいです」と、真摯な答えが返ってきました。

心身の安定か胸キュンか

今、思い返せば「デ・ニーロ・アプローチ」も苦にしない芯の強さと真摯な姿勢を予感させるコメントだったように思います。

鈴木さんが演じた早坂さんに話を戻しますと、穏やかで相手を思いやり尊重する優しさがありながらも、「実はこの人って本当はすごいのかも。男の中の男なのかも」という真の男気がにじみ出ていた。だからこそ、演じた鈴木さんに対する理想の人生のパートナーとしてのイメージが高まったのだと思います。

こういうタイプの男性と共に人生を歩んでいる時、女性は心身共に安定し、仕事も順調に進むものです。

ドラマの中の倫子も、早坂とつきあい始めてから脚本家として実力を発揮していきます。

ですが、なぜか安定を手に入れた途端、急にドキドキや胸キュンが恋しくなり、自分の心をザワザワと不安定にさせる男性にひかれてしまったりするのです。

アラサ―女子は私にとって妹世代ですが、この世代の友人たちに早坂派かKEY派かを聞いてみると、KEY派と言う声が多く上がってきました。しかし、30代半ば以降の友人たちに聞いてみると、圧倒的に早坂派が多数を占めます。同じ30代でも半ばを過ぎるとグッと現実的になるのかもしれませんね。

坂口さん演じるKEYの「オレも好き……って言ったらどうする?」の一言と、その直後のキュートな笑顔は、破壊的なほどのドキドキと胸キュンがありました。

だからこそ、『タラレバ娘』の姉世代の一人として言わせていただくならば、ドキドキや胸キュンが日常になったら、それはそれで不安定で、仕事中もフワフワしてしまうもの。 恋愛のドキドキがなければ生きている実感がないという女子もいるかもしれませんが、結婚は長く続く日常生活です。毎日、ドキドキ、ソワソワ、モヤモヤなんてしていたら、次第に疲弊、消耗してしまいます。

公私共に、満たされ安定した日常のなかに、時折、ワクワクやドキドキがある日々こそが幸せだったりするのでは?と感じるだけに、老婆心ながら妹たちの今後の人生に向けて『やっぱり早坂さんがいいよ』という言葉を送りたくなってしまうのです(笑)。

もちろん、幸せの価値観は人それぞれですし、恋愛にはまっている最中は聞く耳を持たないかもしれませんが……。

鈴木ともみ
 経済キャスター、ファイナンシャル・プランナー。日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。TV、ラジオ、各種シンポジウムへの出演の他、雑誌やWeb(ニュースサイト)にてコラムを連載。主な著書に『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。株式市況番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重TV・ストックボイス)キャスターとしても活動中。

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