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書店員がおすすめ 新入社員が読んでおきたい5冊

2017/3/31

紀伊国屋書店大手町ビル店の西山崇之さんのおすすめは『入社1年目の教科書』と『人を動かす』

 ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今週はいつもと趣向を変えて、定点観測している東京都心の3書店で新入社員が読んでおくといいビジネス・経済書をおすすめしてもらった。学生生活からアタマを切り替えるのにちょうどいい5冊を紹介していこう。

■王道の仕事術なら『入社1年目の教科書』

 話を聞く3人の書店員には、新入社員におすすめの2冊を選んでもらうようにお願いした。そのうち2人がそろって推薦してきたのが岩瀬大輔『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)だ。まさにそのものズバリのタイトルで、現在ライフネット生命保険社長を務める岩瀬氏が副社長時代に執筆した仕事術の本になる。2011年の刊行だが、すでに29刷を数え、最新の帯では「35万人が読んだ仕事の教科書」をうたう。

 すすめてくれた一人、リブロ汐留シオサイト店店長の三浦健さんは「定番中の定番ですが、職場に入ってすぐ足元の仕事に役に立つ」と言う。もう一人の紀伊国屋書店大手町ビル店の大西崇之さんは「うちは新入社員のお客様があまり来店しないが、部長クラスの方や会社の総務の人などがこの時期になるとまとめて買っていく」と話す。仕事をしている人から見ると、有益なアドバイス満載の本らしい。

 内容と構成はいたってシンプル。冒頭に「仕事において大切な3つの原則」が置かれ、続いて具体的な仕事の仕方や心構えが50の指針として示される。原則は「頼まれたことは必ずやりきる」「50点で構わないから早く出せ」「つまらない仕事はない」の3つ。指針の方は「何があっても遅刻するな」から始まり、「会議では新人でも必ず発言せよ」とか「社会人の勉強はアウトプットがゴール」といった項目が一つ3~4ページと読みやすいペースで語られていく。2年間の経営学修士(MBA)留学を含むわずか8年余りの社会人生活でライフネット生命を立ち上げた岩瀬氏。その高速成長を支えた仕事や生活への構え方が、自身の体験的エピソードを巧みに交えながらテンポよく語られるのが魅力だ。

■未来とライフプランも考えておきたい

リブロ汐留シオサイト店の三浦健さんは『入社1年目の教科書』とともに『10年後、君に仕事はあるのか?』を推した

 リブロの三浦さんはもう1冊を最新刊から挙げてくれた。この2月刊行の藤原和博『10年後、君に仕事はあるのか?』(ダイヤモンド社)だ。リクルート出身で義務教育初の民間出身者として区立中学校の校長を務めた藤原氏による人生設計の本であり、ネット世界がさらに広がり長寿化がもっと進む未来をどう生きるかを、高校生に語りかける形で書いている。「目の前の仕事のことばかりではなく、少し先の世界や社会への関心も持っていてほしい」とは推薦した三浦さんの弁だ。現在、奈良市の高校で校長を務める藤原氏の関心に沿って書かれた1冊だが、ここに書かれた未来やその対処法は若い世代全般に通じるものだ。

 一方、紀伊国屋書店の西山さんが推薦するもう1冊はD・カーネギー『人を動かす』(創元社)。いわずと知れた自己啓発書の古典的名著で、「人を動かす3原則」に始まり、人と接するスキルを多面的に伝授する。「この本もまとめて購入されることが多い本。『仕事は人』ということを新入社員に伝えるには最良の本だと考える人が多い」と西山さん。

■仕事とは何か 半生記で知る

八重洲ブックセンター本店の木内恒人さんのおすすめは『伝えることから始めよう』と『1坪の奇跡』

 八重洲ブックセンター本店副店長の木内恒人さんはまったく別の視点から2冊を選んでくれた。「名物経営者の本は読んで何より面白い。その上で仕事とは何か、仕事に向き合うとはどういうことなのか、見逃しそうな小さなエピソードから深く考えさせられる」と言う。この観点で選んでくれたのが高田明『伝えることから始めよう』(東洋経済新報社)と稲垣篤子『1坪の奇跡』(ダイヤモンド社)だ。前者の高田氏はジャパネットたかたの創業者。「NIKKEI STYLE」でも「90秒にかけた男」で17回にわたり半生を語りおろしてもらったが、今年1月刊のこの本では自らの半生を振り返り、社員たちに伝えようとしてきたことのエッセンスをまとめている。後者の方は著名経営者ではないが、東京・吉祥寺で年商3億円以上という和菓子店を経営する。店舗面積は1坪足らず、商品は自ら練るようかんと最中(もなか)だけなのに、1日150本限定のようかんで40年以上朝の行列が絶えない。その味と仕事について語った2010年刊行の本だ。

 高田氏の本は「その場その場に向き合っていく姿勢に感銘を覚える。社会人にとって伝えることは絶対必要。新社会人の方はその向き合い方を読んで感じてほしい」。稲垣氏の本は「『極める』とか『こだわる』とか、いろいろなことを考えさせられる。新入社員はスキル系の本を必要に迫られて読むことが多いだろうが、この本ならビジネスの原点のようなものを感じられると思う」と木内さんは話す。

(水柿武志)

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