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三枝匡氏は「戦略の要諦は絞りと集中である」と指摘しており、そのためのセグメンテーション(ターゲット顧客の選定)が本書の重大なテーマです。当然、顧客データがなくてはならないのですが、実はそうしたデータはあったのです。あっても使われていなかったのです。

「その気になってみれば、情報は目の前にたくさんあるのさ。それに意味をつけて社内に発信してくれるやつがいるかどうか」が違うのです。

慶応大学ビジネススクール 清水勝彦教授

慶応大学ビジネススクール 清水勝彦教授

本書は、そうした情報への感度と目線が内向きか外向きかで「ルート1企業」「ルート3企業」という区分をしています。前者は「競合相手の動向がいつも話題になって、ピリピリしている」。これに対し後者は「社内の人間に向けられた不満でいつもジメジメしている」ので、結果として「磨けば光るダイヤモンドのような情報が社員や経営幹部のファイルに入り込んだまま出てこない」「やたらと情報を集めるのが好きなのに、それを個人的に退蔵して知らん顔をしている変な中堅社員がいる」ような状態です。

しかし、ルート3企業はそういう状況になっているのもわからない。はた目に泥酔は明らかなのに、ベロベロに酔っている脳が自分は大丈夫だと思っている「酔っ払いのジレンマ」状態です。

そしてさらに重要なのが「業績の悪い企業は内部が不安定だと思われがちだが、むしろ逆のことが多い。低いレベルで社内が妙に落ち着いてしまう」という指摘です。

その意味で、「意識を変える」というのは企業変革の中心であると同時に最も難しいポイントです。「企業改革は意識改革から」とおっしゃる方が時々いらっしゃいますが、これはウソです。意識改革ができれば、企業改革はほぼ終わったようなものだからです。そうした一見もっともな言葉を真に受けて失敗する事例は枚挙にいとまがありません。

ビッグデータは大切です。そして、もっと大切なのはそれを分析・役立てる視点、意識です。

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