上戸彩 今だから話せる「国民的美少女」からの20年

日経エンタテインメント!

「最初にジャイさん(福澤氏)に『花役をどうしても直(『金八先生』のときの役の名前)にやってもらいたい』って言っていただいたときは、『いやー、大役すぎて私には(堺さんの奥さん役は)務まらないですよ』って伝えたんです。でも、『茶髪で銀行員の奥さんぽくない役で、それを直に演じてほしい。そのまんまでいい』って言ってくださって。『ジャイさんとはお仕事したいし、うーん…頑張ります』みたいな感じで、お話を受けさせていただきました。

自分としては、いきなりのステップアップで。まさかあんなにたくさんの方に見ていただけるとは。ジャイさんとはいつもこう、すごく高い階段があるんだけど、そこで手をぐいっと引っ張られて、ぴょんと飛ぶ感じ、ですね」

できないと思った『昼顔』

もう1つ、殻を破った作品がある。14年の連ドラが評判となり、今年6月には映画が公開になる、不倫をテーマとした『昼顔』だ。

『昼顔』 生物教師の北野(斎藤工)との不倫を解消し、夫とも別れた紗和(上戸)。その3年後のストーリー。「静かだけど、温度を感じられる作品です」。6月10日公開。東宝配給。(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社

「何で私、受けたんだろう。『できません、私はこんなの無理です』って言ってたんです。負けた感じですね、口説かれて。西谷弘監督も魅力的で、世界観も興味深いんだけど、最初は視聴者として見ていたいって気持ちが強かったです。でも、『絶対に浮気や不倫は嫌だと思っている上戸さんだからオファーした』と言われて、考え直した気がします。

結果、やっぱり広がりましたね。いつもきれいなだけのワンパターンじゃ、女優とは言えないなって。以前はラブストーリーが苦手でしたが、ちゃんと作品と向き合えるようになりました。例えば、静かに強く抱き合うほうがキスよりも伝わるなと感じたら、西谷監督と話し合って少し変えたり。もちろん、心に届く必要なキスシーンはあるので、ストーリーの中でベストを尽くしたいと思っています」

経験を積み、女優として求められるものにも変化が出てくるなかで、これまでの頑張りが報われるような作品にも出合えた。今後の女優人生やエンタテインメント界については、どんな希望を持っているのか。

「最近は子育てで忙しくてドラマもあまり見られていないんですが、今は俳優さんで見るものを選ぶ人は少ないですよね。以前だったら『誰々と誰々が出るんだ、見よー』って感じだったけど、ストーリーそのものにかかってきてるなって。脚本家さんに興味を持って1話目を見てみたりとか。

今感じているのは、視聴率がよく取れる枠だとか、この映画会社だったら興行収入はいいところまでいけそうとか、そういうのではなくて、作り手として全力で現場が楽しめたり、台本が面白かったり、人とのつながりでお仕事をしていきたいということです。子育てが第一優先ですけどね。でも引退とか休業はないです。そんな話題もここのところ多いですけど、みんな言わなくてもいいのにって思います。

私もこの世界で20年、芸能界の成人式でしょ。ちょっとこわい(笑)。何だかお酒飲みたい気分になっちゃいますね(笑)」

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2017年4月号の記事を再構成]

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