医療ドラマにファン待望の新作 『ナイトシフト』1位
2017年2月 海外ドラマ月間レンタルランキング
犯罪捜査や法廷ものとならんで、アメリカで人気の高いジャンルが医療ドラマだ。そのときどきの時代背景を反映させながら、多くの名作が生まれてきた。近年では『ER 緊急救命室』が15シーズンも続いた大ヒット作として知られ、緊迫感のある手術シーンなどリアルな描写が大きな話題を呼んだ。その流れを引き継ぎ、さらにアクション要素を加えた医療ドラマの新作が『ナイトシフト 真夜中の救命医』だ。TSUTAYA月間ランキングで初登場1位となる人気作に躍り出た。
『ナイトシフト』の舞台は、アメリカ南部、テキサス州の空軍基地に近い町にあるサンアントニオ記念病院。そこにあるER(救命病棟)のナイトシフト(夜間勤務)で働く医師たちの活躍を描く。その半数以上が従軍経験者という設定が目新しい。野戦部隊で鍛えた医療知識とスキルを駆使して、毎夜担ぎ込まれてくる急患たちの治療にあたるのだ。
全米では2014年から放送が始まり、17年6月からはシーズン4が始まる人気作となっている。『ER』を放送していたNBCが送り出した新シリーズとあって、『ナイトシフト』も医師、看護師、病院側の管理者といったさまざまな登場人物が織りなす複数のストーリーが、交差しながらスピーディーに進む。毎分毎秒が戦いという緊迫感に、手に汗を握る。
一方、『ER』が大都会シカゴの病院が舞台だったのに対して、南部にある基地の町の病院が舞台の『ナイトシフト』は、メキシコのドラッグ密売人を追うDEA(麻薬取締局)が登場するなど土地柄を反映したワイルドなムードが漂う。第1話を監督したのは大ヒットアクション映画『96時間』のピエール・モレルで、救出劇が展開するなどアクション色も強い。
中東情勢の影もドラマに反映
主人公である元陸軍外科医のTC・キャラハンは、兄をアフガニスタンの戦場で失ったことで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいる。今も中東情勢が社会に影を落としているアメリカの現実を反映したドラマであり、そうした時代性も全米で人気が高い理由だろう。
TSUTAYA MD販促部映像ユニット レンタルチーム 海外ドラマ担当の中山知美氏は初登場1位について、「医療ドラマは一定層のファンがいるジャンルにもかかわらず、新しいシリーズが久しくありませんでした。そこに、ようやく待望の新作が出たので、ファンが飛びついたようです」と言う。
『ER』以降もヒット作は出ているが、日本でも人気が高かった『Dr.HOUSE/ドクター・ハウス』は放送終了。今もDVDリリースが続いている作品は、今回21位の『ロイヤル・ペインズ~救命医ハンク~』がシーズン7、4月にリリースが控える『グレイズ・アナトミー』がシーズン12と、いずれも長くシーズンを重ねており、新鮮味に欠ける。そこに、『ER』の王道路線にアクション要素の新機軸を加味した新作が登場したというタイミングの良さも、人気の追い風になったようだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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