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カリスマの直言

AI革命時代 日本株が世界の株高をけん引(藤田勉) 一橋大学大学院客員教授

2017/4/3

「新年度は2020年に向けてAI革命相場が本格始動する年になると考えられる」

 新年度の2017年度は、20年に向けて人工知能(AI)革命相場が本格始動する年となろう。米トランプ政権による「トランプ相場」に陰りが見られ、日本株も調整しているが、日本の産業構造はAI関連企業を中心に大きく変化しようとしている。こうした状況を踏まえると日本株は長期的な上昇局面に入ったと考えられる。

 日本株は、海外と比較すると上昇率が低い。16年末まで過去10年間の株価上昇率(MSCI)は米国97%、欧州39%に対して、日本は5%にすぎない。しかし、筆者は20年に向けて、日本株は上昇局面に入り、しかも世界の株高をけん引する可能性が高まりつつあると判断している。理由は以下の通りだ。

■過去10年、日本株は世界に出遅れ

 過去10年間の日米欧の株価上昇率の違いを、マクロ要因で説明することは困難だ。この期間の年平均の経済成長率は、米国1.3%、ユーロ圏0.6%、日本0.5%とそれほど大きな差はない。

 もちろん、マクロ要因は、2~3年程度は株価に大きく影響を与えることがある。例えば、12年に「アベノミクス」を掲げる安倍晋三政権が誕生し、日経平均株価は8000円台から15年には2万円超まで大きく上昇した。

 ところが、日銀の異次元緩和をフル動員してもインフレ目標の2%は実現せず、その後、株価は大きく調整した。この間、金利引き上げや景気とは関係なく、米国株は大きく上がり続け、史上最高値を更新している。なぜか。長期的に株価に最も大きく影響を与えるのは、ミクロ要因だからである。

 米国株に投資することは、米国企業が発行する株式に投資することである。日米の株価上昇率の違いは、主に企業の成長力や収益力に起因する。例えば、米国企業の自己資本利益率(ROE)は16%と主要国では1位であり、逆に日本のそれは7%と最低水準である。

 とりわけ、IT(情報技術)セクターの成長力の違いが大きい。米国IT企業の時価総額はアップルが83兆円、グーグルを傘下に持つアルファベットが66兆円、アマゾン・ドット・コム46兆円と桁外れに大きい(いずれも2月末時点)。これらの株価が急上昇しているために、株価指数が大きく押し上げられた。ちなみに、日本では巨大企業といわれる日立製作所やパナソニックの時価総額は3兆円前後である。

 日本ではアマゾンやフェイスブックのように世界で通用する成長株が存在しない。同時に、名門企業の苦境が目立つ。こうした現実を映して10年前に時価総額上位にあったメガバンク、輸出企業(トヨタ自動車、キヤノン、武田薬品工業、パナソニック)、鉄鋼や電力などの時価総額は低迷している。

■日本の産業構造は大きく変化する兆し

 一方で、市場の厳しい淘汰の中、日本の産業構造が大きく変化しようとしている。総合型電機メーカーや伝統的な企業が凋落(ちょうらく)する一方で、世界的なシェアを持つハイテク企業が台頭している。特に、今後、最も成長性が高い分野であるAI、あらゆるものがインターネットにつながるIoT、5G(第5世代移動体通信)に関連したデバイス(電子部品)において、世界をリードする企業が台頭しつつあることに注目したい。

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