くすみを解消して肌ツヤアップ 炭酸水の美容効果
市販のペットボトル炭酸水が、肌の血行を促進し、くすみのない肌をつくる「美容アイテム」として活用できることがわかった。「水に二酸化炭素を溶け込ませた炭酸水は、非常に小さい分子構造をしているため皮膚への浸透度が高い。パックなどで肌に炭酸水を密着させると、真皮内の毛細血管に二酸化炭素が届き、血管拡張物質が分泌される」と、国際医療福祉大学の前田眞治教授は話す。
血管が広がるとその分血流が増え、酸素や栄養などの供給も活発になる。その結果、細胞が活性化し、肌のターンオーバー(新陳代謝)も促される。血色のいい健康な肌に整っていく。
保湿などの美肌効果を求めるなら炭酸コスメなどにも注目。「血管の反応性には加齢変化と個人差があり、低い人は角層の水分蒸発量が高く、肌の乾燥の一因になるという最近の研究結果がある。肌への浸透力を高めた炭酸製剤には、血管に効率的に働きかけ、ひいては乾燥を防ぐ効果なども期待できる」と花王スキンケア研究所の次田哲也上席主任研究員。
今すぐ始められる簡単かつ効果的な炭酸美容を紹介。定期的に続けてくすみ知らずの肌をキープしよう。
【週イチケアで肌を再生 炭酸温水フェイスパック】
くすみのない肌を目指すなら、血行を促進し、肌のターンオーバー(新陳代謝)を整えることが必須。そこで有効なのが、炭酸「温水」フェイスパック。市販の飲用炭酸水をペットボトルごと湯船で温め、洗面器でコットンやタオルにしみこませてパックするだけ。
「血管は約34度以下で体温を守るために収縮し始める。血管拡張作用を得るには、温めた炭酸水を使うことが重要。入浴中に行うことで、リラックス作用や温浴との相乗効果でさらに血行促進が高まる」(前田教授)。パック後の血流アップした肌に化粧水などでしっかりと保湿しよう。
1.炭酸温水を浸したコットンやタオルをのせる 体温よりもやや高めに温めた炭酸水をコットンやタオルにしみこませ、ひたひたにぬらした状態で肌にのせるだけ。
2.5~15分パックする パックの時間は5~15分程度が目安。より効果を得るためには10分以上がお薦め。顔がだんだんと温まり、血色もアップ。入浴しながらゆっくりと。
3.ペットボトルは湯船で温める 40度前後の湯船に、炭酸水のペットボトルごと浮かべておこう。"人肌"の炭酸温水なら、肌にのせたとき血管が収縮することなく、スムーズに血流アップ。
4.シートマスクを活用してもOK 「最も炭酸温水がしみこみやすいのは吸水性の高いタオル」と前田教授。市販のシートマスクやコットンは、よりこまめに足しながら行うといい。
[効果アップテク]
・5分で真皮にアプローチ 「炭酸水に含まれる二酸化炭素は、5分ほどで真皮の毛細血管まで到達する」(前田教授)。パックが最も有効。
・週イチ!定期的に 週1回パックを行えば、約28日周期の肌のターンオーバーのサイクルの中で、4回細胞に栄養を供給できる。
・こまめに炭酸温水を足す 炭酸水の濃度を高く保つため、パックの上からこまめに炭酸温水をかけ足そう。常にひたひたの状態をキープ。
顔からデコルテまで一気に血流アップ オリジナルタオルで炭酸温水パック
薄手のフェイスタオルを1/2の長さにカット。自分の目と鼻の位置に合わせてハサミで穴を開ける。洗面器にタオルを入れ、その上から炭酸温水をしみ込ませる。顔からデコルテまでタオルをのせて5~15分パック。上のほうから少しずつ炭酸温水をかけ足して炭酸濃度を保つ。
【美髪を育てる 炭酸温水ヘアパック】
最近、髪にハリやコシがなくなってきた……。そんな髪質の変化を感じている人に効果的なのが、炭酸温水ヘアパック。
「炭酸水が頭皮に浸透すると、血流が増加することが研究でわかっている。細胞に栄養が行き届くことで、髪質の改善が期待できる」(前田教授)
「炭酸の気泡には、毛穴に詰まった角栓や皮脂などの細かい汚れを除去する効果がある。シャンプーでまず大きな汚れを取り去り、その後に炭酸温水ヘアパックを行うことで、より効率よく頭皮の毛穴をきれいにすることができる」(前田教授)。ヘアパック後にトリートメントを行おう。
「重曹入りは肌荒れを起こすことも 「水+炭酸」が肌にはベスト
重曹(炭酸水素ナトリウム)を使った炭酸水はアルカリ性に傾いているため、皮脂を取りすぎたり、乾燥肌の場合は肌荒れの原因になることも。「また、硬度の高い天然炭酸水などに多く含まれる炭酸水素カルシウムもアルカリ性のことがある」(前田教授)。肌が極度に乾燥するときは使用を中止しよう。
ペットボトルの裏面に「水、炭酸」あるいは「水、二酸化炭素」と表示されている炭酸水は、弱酸性でスキンケアに適している。
飲む・つかる……炭酸水の美容効果はほかにもいろいろ!
<飲んで便秘解消>
「朝、起き抜けに100~150ml程度の冷たい炭酸水を飲むと、胃内部の血流が一気にアップし、腸のぜん動運動が活発に。お通じが良くなる」(前田教授)。便秘は吹き出物など肌トラブルのもと。体の内側から美肌を目指そう。
<手浴・足浴で肌荒れ改善>
温めた炭酸水を洗面器に入れ、手首から先を5~15分つけると指先の毛細血管が拡張。血流が良くなることで細胞が活性化し、手指の荒れなども改善。上半身の血液循環もよくなるため、首や肩のこりなども解消できる。
「炭酸温水足浴は、糖尿病による足先の血流の滞り改善治療でも大きな効果を上げている」(前田教授)。自宅で行う場合はたらいなどに炭酸温水を張り、足首の上まで20~30分長めにつかる。美足効果+冷えも解消。
国際医療福祉大学大学院。人工温泉としての炭酸水研究の第一人者。リハビリテーション医学を専門とし、床ずれなどの傷の治療や動脈硬化の改善など医療現場でも炭酸水を応用。『やせる! きれいになる! 炭酸生活」(幻冬舎)など著書多数。
花王スキンケア研究所上席主任研究員。博士(工学)。スキンケア、ファンデーションの臨床効果実験・評価に精通。20数年の研究歴から、肌の状態やスキンケア法をわかりやすくアドバイスする。東京農工大学の非常勤講師としても活躍中。
(ライター やまきひろみ、写真 鈴木希代江、Paul Taylor=getty images、スタイリング 椎野糸子、ヘア&メイク 薄葉英理=ロッセット、モデル 殿柿佳奈、イラスト 金子なぎさ、構成 太田留奈)
[日経ヘルス 2017年3月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
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