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プロも驚く進化形フライパン4選 鉄鍋も復権か?

日経トレンディネット

2017/3/27

写真:菊池くらげ(以下同)
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 合羽橋の老舗料理道具店「飯田屋」の6代目、飯田結太氏がイマドキの調理道具を徹底比較。今回は、プロに注目されている最新のフライパンを紹介します。「マグマ」や「バイオ」などをキーワードにした、今までのフライパンでは考えられなかった技術が盛り込まれたものが次々に登場! プロも驚く進化系フライパンを検証します。

◇   ◇   ◇

東京・合羽橋の調理道具専門店「飯田屋」の6代目、飯田結太氏

 こんにちは、飯田結太です。調理道具の基本といえばフライパンですよね。鉄製やフッ素加工のもの、セラミック製など、さまざまな材質のものが出ていますが、どれも長所と短所があって使い方に合わせて選ぶことが大切です。例えば、フランス料理などのソースを作るにはアルミ製のフライパンが適していたり、ステーキを作るなら鉄製が良いなど、プロは用途ごとに材質の違うフライパンをそろえています。

 しかし最近、そんな材質特有の長所と短所を解決した驚きのフライパンが次々と登場しているのです! 今回はそんな驚きのフライパンをご紹介します。

■鋳鉄と鋼板のいいとこどり「マグマプレート」

佐藤商事「匠フライパン」(サイズ直径24cm、重さ約1011g、板厚約1.6mm、飯田屋店頭価格4000円)

 ここ数年、フライパンといえば、さびにくく、手入れも簡単で見た目も美しい窒化鉄製フライパンが多く出ていました。代表的なものにリバーライトの「極 フライパン」があります。そんな状況のなかで久しぶりに登場したのが、“生鉄(なまてつ)”と呼ばれる、中華鍋によく使われている純度の高い国産の鋼板を用いたフライパンです。

 生鉄は、簡単にいえばさびやすい鉄。使用後にしっかり水気を飛ばして油を塗っておくなどのメンテナンスが必要だったり、焦げ付きやすかったりして、定番商品ながら最近ではメンテナンスがラクなフッ素加工や窒化鉄のフライパンに押され気味でした。そこに登場したのが、佐藤商事の「匠フライパン」です。

 匠フライパンの特徴は、独自に開発された内外両面に細かい凸凹を付けた「マグマプレート」。これは、鋳鉄のように表面がザラザラしています。通常、鋼板の鍋の表面はツルツルしていて、使い始めに油をしっかり浸透させる必要がありました。しかし鋳鉄はザラザラ感があることで表面の面積が広がり、普通の鋼板のフライパンよりも油のなじみが早いので焼き入れの必要もなく、また凹凸があることで食材に接する面積が少なくなって食材を焦げ付きにくくするというメリットがあります。この鋳鉄のメリットと、生鉄ならではの高温への耐久性、高い熱伝導率で食材の奥まで一気に火を通す力を組み合わせたのがマグマプレートです。

 さびにくいとはいえ、鉄製なので使用後の手入れは必要ですが、鋳鉄と鉄のいいとこどりをしたマグマプレートは、これから鉄製鍋のスタンダードになるかもしれません。

■窒化鉄の進化系、「スーパー鉄」

ビタクラフト「スーパー鉄 ウォックパン」(サイズ直径24cm、重さ約863g、板厚約1.6mm、飯田屋店頭価格8000円)

 プロにはもちろん、一般の人にも人気があるのがビタクラフトのフライパンです。ビタクラフトといえばステンレスの技術力が高いことで知られ、打ち出しフライパンで知られる山田工業所とのコラボ製品が大ヒットしたブランド。

 そんなステンレス製品で定評のあるビタクラフトが今回開発したのが、窒化4層加工の「スーパー鉄」というもの。窒化加工とは、さびが大敵となる船舶や航空機に使われている加工技術。鉄の内部に窒素を浸透させて表面の強度を高めることでさびにくくするこの技術を採用し、強靭なフライパンを作り上げたのです。生鉄のフライパンのように、焼き入れや油ひきなどの面倒な手入れが不要。初心者でも使いやすいと評判です。

 窒化4層加工を施したフライパンは、全部で4種類。直径が20cm、24cm、26cm、28cmがあり、24cmと28cmが深型になっています。深型はすり鉢状になっているのがユニーク。また、柄の部分がステンレスで作られているのがおしゃれです。見た目もカッコいいフライパンです。

■生物由来のフッ素コーティング

ガストロラックス「BIOTAN(バイオタン)」(サイズ直径26cm、重さ約1494g、板厚約7mm、飯田屋店頭価格2万7000円)。デンマーク製、シリアルナンバー入り

 真珠や貝殻、甲殻類などのように生物が作り出す鉱物「バイオミネラル」と珪藻土を使用したフライパンが登場しました。軽量で柔軟性がありながら強靭(きょうじん)な性質を持つとされる天然のバイオミネラルと珪藻土を骨材として使用し、そのナノレベルの隙間までフッ素樹脂を浸透させて一体化した素材なのだそうです。

 鍋底面にはハニカム構造のステンレスを貼り付けているので、IHクッキングヒーターでも使えて、取っ手は取り外しができるタイプ。取っ手を外してオーブンにそのまま入れてもOKで、オーブンから取り出すときには、取っ手をまっすぐに着脱できるのでラク。そして、食材がこびりつかないことに対して2年間保証付きという、至れり尽くせりのフライパン。

 ひとつ難点なのは、ほかのどのフライパンよりも高価格だということです。高すぎて日本での知名度はいまいち。でも、通常1年ほどで寿命とされるフッ素加工のフライパンに比べたら、決して損はしないと思います。一生使えるとはいえませんが、2年以上は十分に活躍します。噂では10年以上持つとも。耐久性のあるフッ素加工のフライパンを探しているなら一見の価値はあります。

■振って使うためのデザインと進化系セラミック

本間製作所「フェニックス」(サイズ直径26cm、重さ約1154g、板厚約2.5mm、飯田屋店頭価格1万7500円)

 ここまでの3つのフライパンは置いたままで使うタイプでしたが、この「フェニックス」は、振って使うためにデザインされたもの。通常、取っ手は上、もしくは横からギュッと握るための形状になっているのですが、これは、親指で上側を押さえて、下側を残りの指で支えるようにデザインされているのです。しかも、ほかのフライパンに比べると取っ手部分が短めで手のひらに収まるくらい。これがフライパンを上手に振れる仕組みなんだとか。

 材質はセラミックなのですが、通常セラミックというと、ツルツル、サラサラの手触り。それに対してフェニックスはザラザラの感触。これで、食材がくっつくことなく調理がしやすくなります。

 また、フッ素加工のフライパンは耐熱温度が250~270度なのですが、セラミックは400度まで可能。そのため、これはそのままオーブンに入れられるように作られています。実はこれはプロ用に開発されたもの。熱伝導率を高めるためにベースは3層の異なるアルミでできています。家庭で使うフライパンは揚げ物、煮物、炒め物、焼き物と幅広く対応できることが求められますが、プロがフライパンを使う目的は、焼き物と炒め物、そしてオーブン料理だけ。その3つの用途に特化しているんですね。

 ただし、振ることができるデザインといっても、フェニックスは重量級なので、握力、腕力がないと難しいかもしれませんが。

 フライパンは日々進化しています。種類も多く選ぶのは難しいですよね。どうやって選ぶのかと聞かれたら、私は「重さが一番重要」と答えます。重ければ重いほど寿命が長く、耐久性もあり、保温性も高いものなんです。今回紹介した進化系フライパンはすべて1000g前後のもの。最近では重いものが主流となっています。しかもその傾向は強まるばかり。今後どういうフライパンが登場するのか、フライパンの進化から目が離せません。(談)

(ライター 広瀬敬代)

[日経トレンディネット 2017年3月16日付の記事を再構成]

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