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4年目も予約殺到 東北レストラン列車が若者呼ぶ理由 温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト 石井宏子

2017/4/3

ランプとテントに赤じゅうたん。「走るレストラン」の入口でお出迎え

■列車に乗るのではなく、ココはレストランの玄関

 「お待たせいたしました。東北レストラン鉄道、『東北エモーション』ご乗車の準備が整いました」

 乗車時刻が近づいてくると、ホームに赤いじゅうたんが敷かれる。ドアの上にはランプがかけられ、入り口にはおしゃれなテントも取り付けられている。黒服に蝶(ちょう)ネクタイ、白い手袋姿の支配人が立ち、本日のオープンコール。全席レストラン空間の鉄道旅の始まりだ。

3号車のオープンダイニング車両は列車と思えない雰囲気

 レストラン列車は観光列車とは大きく違うところがある。それはもちろん「食事」。観光列車で提供されるのは別の場所で調理して運び込まれるケータリング式の「お弁当」だが、レストラン列車では「料理」。東北エモーションは3両編成の真ん中にある2号車が丸ごとキッチンカーになっていて、シェフたちが列車内で料理をつくっている。乗車の際は全員が2号車の扉から乗り込むので、よい香りが漂うこのオープンキッチンを眺めてワクワクしながら席に着くことになる。

「レストラン・シュヌー」のシェフ赤間善久さんが車内で調理

 東北エモーションはシーズンごとにシェフが代わるため、繰り返し乗車するファンづくりに役立っている(筆者もその一人だが)。ことし3月から9月の期間は、異例の親子競演が実現した。宮城県塩釜市のフランス料理店「レストラン・シュヌー」のオーナーシェフ赤間善久さんと、長男の赤間善太さんが前半・後半をリレーで担当する。これは話題となっており、今回お父さんの料理をいただいたら、7月ごろにまた息子さんの料理を食べ比べに乗車したいという声を車内でも聞いた。

■若者のグループやカップルにも大人気の理由

 東日本大震災の復興支援と地域活性化を目的に誕生してから4年目を迎えた今も、相変わらず予約が取りにくい人気が続いている。しかも他の地域の観光列車に比べて若い世代の客層が目立つ。価格の手ごろさもあると思うが、大きな理由は魅力的なデザイン性。レストランをイメージした外装はエレガントな白。手書き風のイラストタッチでれんがの壁を表現している。だまし絵のようなテクニックで描かれた線画の立体感に心を奪われる。三陸海岸の青い海、青い空を走る景色にスッキリと浮かび上がるデザインだ。

センスのいいデザインも人気の理由に

 プロジェクトマネジメントは、「CLASKA」「堂島ホテル」「木屋旅館」など次々とヒットを飛ばしたトランジットジェネラルオフィスの中村貞裕氏と岡田光氏のコンビ。外装デザインには高級車フェラーリやポルシェなども手がけた工業デザイナー、奥山清行氏など多くのクリエーターたちが関わり、列車に乗ることが目的のひとつになる「新しい旅のカタチ」を目指した。

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