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自分で考える働きやすさ改革 制度より仕事の断捨離

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NIKKEI STYLE

昨年9月の第1回「働き方改革実現会議」以来、官民挙げて「働き方改革」の議論が活発化しています。今年の2月24日からは、毎月最終金曜日に仕事を早く切り上げようという「プレミアムフライデー」もスタートしました。

とはいえ、長時間労働の是正、男性の育児参加、年収格差解消など個別の課題は山積みのうえ、制度が整えばすぐに働きやすい職場環境ができあがるというものでもありません。先進企業の取り組みをヒントに「働きやすさ改革」を考えてみました。

コンカー:コミュニケーションを促進して働きやすさを向上

米Concur Technologiesの日本法人であるコンカー(東京・千代田)は、世界最大規模の従業員意識調査「Great Place to Work」(働きがいのある会社研究所が運営)で3年連続「ベストカンパニー」(従業員25~99人部門)を受賞。多様なワークスタイルに対応した人事施策など、働きやすい環境づくりが評価されています。

コンカーは出張・経費管理クラウドサービス「Concur Travel & Expense」を提供する企業。経費精算の作業をクラウドに移行することで、所要時間を月平均48分(一般企業の平均)から8.3分に短縮するとうたいます。社内では、承認系のワークフローや名刺管理、採用、労務管理などもクラウド化して社員の作業負担を減らす努力をしています。

しかし、業務の時間短縮以上に同社が重視しているのは社内のコミュニケーションです。「人材さえそろえばビジネスが伸びるわけではない。お互いがお互いを高め合う文化をつくることが大事です」(マーケティング本部PR&コンテンツマーケティング担当マネジャーの安東知佳さん)。昨年2月に立ち上げた「Constructive Feedback(コンストラクティブ・フィードバック)」もそのための制度です。会社の改善点などを、誰でも無記名で意見箱に「投票」できるようにしたところ、社員から多くの意見が集まり、そこから数々の社内タスクフォースが立ち上がりました。

「ログが残らない投票スタイルにして、単なるクレームはNG、解決策や代案を書く、というルールを決めました。ここで集まった意見によって"茶の間スペース"(社内の休憩スペース)にイベント告知のための黒板を設置しました。新入社員の紹介スライドをパワーポイントで作って茶の間スペースのパソコンで流すということも始めました。毎月多くの新人が入社してきますが、休憩中にこのスライドを見て社員の名前と顔を一致させることができるようになりました」(安東さん)

そのほかにも、他部署の上司をコミュニケーションのためのランチに誘う「タコランチ」、「社内インターンシップ」「バディ活動」などユニークな試みがたくさんあります。いずれも、自分が所属する部署での経験や思考にとどまらずに、他の部署の人々との意見交換や業務経験によって視野を広げるのが目的。「タコランチ」は「ワクワクすること」や「悩み」を話す、というのが条件で、会社からはランチ代の補助もあるそうです。「私を誘ってくれたら、豪華なランチにご招待します!」とアピールをして声をかけられるのを待っている上司もいるといいます。「上司からランチに誘うと"業務命令"ではないですが断りにくくなります。部下が上司を選ぶというところがこのアイデアの魅力です」(安東さん)

「とにかく、社長がオープンマインド。会社の経営の現状なども包み隠さず話すので、社内から建設的な意見が集まるだけでなく、団結力も高まります。自発的に会社を変えようとする意識の高い社員が多いのが特徴です」

中小規模の企業だからこそできる交流のあり方かもしれません。今後も働く社員の状況に応じて、在宅勤務やベビーシッター補助制度などを柔軟に整備していくといいます。

ヤフー:働き方の選択肢を増やす

2016年4月に20周年を迎えたヤフー。2016年10月にはオフィス移転を機に、東京本社の6000人弱を対象にフリーアドレス制を導入。社外の人も利用できるコワーキングスペース「LODGE(ロッジ)」を新設し、社内外の情報交換や新たな協業を生み出す仕組みをつくるなど、オフィスそのものの使い方を一新しました。

「LODGE」は広さ1330平方メートルで、カフェや会議用のスペース、キッチンまである充実ぶりです。「コミュニケーションを活性化する『情報の交差点』として、『!』(びっくり)なサービスを生み出す場所にしたいと思っています」。同社のピープル・デベロップメント戦略本部の湯川高康本部長は熱く語ります。

社内制度も次々と更新しています。異動希望を出せる制度「ジョブチェン」。自らのキャリアや働き方を見直し、考えるための長期休暇「サバティカル制度」。上司と部下が週1回、1対1で対話する「1on1(ワンオンワン)ミーティング」や、半期に1回、部下が上司を360度評価する「フィードバック制度」も実施。いずれも社内の上下関係にかかわらず、会話の頻度を上げてコミュニケーションを活発にすることを狙っています。

「1on1ミーティングを導入してから休職率も下がりました」(湯川本部長)。こうした制度が実際に働きやすさの向上につながっていることの表れだといいます。

同社の新卒入社の社員が3年以内に離職する比率は4.5%とかなり低め。そのカギはやはりコミュニケーションにあるようです。さらに2016年12月には、以前ヤフーにいた元社員の会『モトヤフ』も作りました。「離れていった人も仲間。彼らとの交流も大切にしていきたい」と湯山本部長は言います。

働き方が多様化していくなか、自由に働ける環境には自己責任が伴い、結果が求められます。連絡がつけば好きな場所で終日働いてもいい「どこでもオフィス」という制度を2016年10月から月5回設定し、トライアル期間として実行しているものの「まだまだ月5回すべてを利用する人は少なく、消化率は半分程度」(同)。パフォーマンスに対する説明責任が求められる働き方は、考えようによっては以前よりも厳しいところもあるということでしょう。

「試行錯誤しながらいろいろな施策を出し、より働きやすい環境を提供していきます。社員の働き方の選択肢を増やしていきたいからです」

「仕事の断捨離が先決」

一方、働き方改革の動きについて苦言を呈するのはトップコンサルタントとして知られるローランド・ベルガー会長の遠藤功氏。政府目線での働き方改革より、もっと根本的な部分を見直すべきと指摘します。

「何よりも仕事の断捨離が大事です。例えば結論の出ない会議、意味の薄い出張など、価値の低い仕事が日本企業には多すぎます」(遠藤氏)

問題の本質は労働の質と中身を変えることであって、働く場所や時間の制度を変えることが本質ではない、ということ。「今やっている仕事(作業)が本当にやる意味があるのか、もうけにつながるものであるのか、それを問うことが重要」といいます。

一人ひとりが、今向き合っている仕事に対して意味を問い、現場・管理職・経営者の3つの層でそれを変えられる体制が整えば仕事の断捨離が実現し、働きやすい環境へと変化していくと遠藤会長はいいます。

「顧客からの無理な要求や過剰な仕事は現場にやらせないように上層部が変わらないといけない。三越伊勢丹が昨年から、元旦から2日までを休みとして、従業員が正月に家族と過ごせるようにしました。これこそが経営レベルで実施した仕事の断捨離です。今の仕事にメスを入れることが大事です」

自分でできる働き方改革とは

コンカーとヤフー。どちらもIT(情報技術)分野のビジネスを手掛けており、社内の情報基盤も恵まれた企業とはいえ、働き方改革について最も重視していることをたずねて返ってきた答えは、どちらも「コミュニケーション」でした。

ヤフーの湯川本部長はこう話します。「働きやすい職場環境に不可欠なのは信頼関係だと思います。周囲の人たちを信頼するとともに、自分自身も信頼される人間になるよう努力する。信頼し、信頼されるようになると、職場環境はうんと良くなると思います」。仕事をまかせるという点でも、信頼関係が築かれていれば助け合うことができます。「周囲を信頼している人はきちんと周りからも慕われている。こういう人々が集まることが健全な組織につながると個人的には考えています」

自分の働き方からまず変えていくために、コンカーの安東さんはこんなヒントをくれました。「個人的な意見ですが、自分で解決できるところは自分で、難しいところは上司に相談しながら少しずつ環境を変えていくことから始めたらどうでしょう。上司に相談する際も、より成果を出すためのアイデアを持っていけばきっと上司も心が動くと思います。同じ悩みを持つ社員に相談すれば、思いがけないアイデアが生まれてくることも。自分が変われば職場も変わっていくということです」

何のために働くのか。目の前にある仕事を何のために、どういう思いでやっているのかを改めて考えてみる。「制度改革」に過度な期待をして待つのでなく、目の前にある仕事と環境のあり方に問題意識を持つことから始めたいものです。

(ライター 大崎百紀)

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