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地域限定職、あえて転勤 女性が経験広げる

根づくか、東京海上の人事制度

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NIKKEI STYLE

東京海上日動火災保険が人事制度を大幅に見直して1年たった。転勤を前提とするコースと地域限定に分けて採用してきたが、非転勤組の人も、希望すれば一定条件の下で転勤ができるようになった。見えてきた成果と課題を追った。

茨城県つくば市にある東京海上の茨城南支社。入社4年目の佐藤碧さん(26)は1年前、約50人が働くこの支社に加わった。自動車保険など個人顧客向けの商品を販売するのが主な仕事で、20~30社の販売代理店とやり取りをする日々。入社時には「想定していなかった」働き方だ。

東京→茨城へ

佐藤さんは小学3年生から大学まで東京都内で育った。東京海上の就職活動でも男性中心の「グローバルコース(当時の呼称は全国型)」ではなく「エリアコース(同・地域型)」を選択。95%以上を女性が占めるこのコースは転勤がないのが特徴で、東京・千代田の本店で大企業向けに保険を売る部署に配属された。

佐藤さんが引っ越しが必要な茨城県に赴任するきっかけになったのが、同社が12年ぶりにおこなった人事制度の改定だ。目玉の1つが、社員の約5割を占めるエリアコースに「ワイド型」と呼ぶ選択肢(オプション)を設けるというもの。ワイド型を選んでいる期間は「関東・甲信越」や「東北」「九州・沖縄」といった範囲に限るものの、グローバルコースの社員と同様に転勤の対象となる。

同制度を作った理由は「活躍する場所の選択肢を広げてもらうため」(人事企画部の高木晶光課長)だ。

各地に支社を構える同社では勤務地により、仕事内容や進め方が異なることも多い。グローバルコースの人材は以前から、転勤を通じて経験を広げる機会を得ていた。ただ、グローバルコースとエリアコースを明確に分けており、入社後に転向する人はほぼいない。それゆえ8千人に上るエリアコースの人材の働く地域を限定し続けることが、多様な働き方を抑制し、成長の機会を奪っているのでは、との指摘もあった。

実際はどうか。佐藤さんは茨城に来て「自分の言葉で提案ができるようになった」と話す。前の部署では企業同士の長い付き合いで契約を更新してくれる顧客は多かったが、自分自身が良い提案をできている実感はしなかった。「今は『車両保険は付けたほうがいい』と言うだけではなく、自分の運転経験を絡めて話ができる」(佐藤さん)。保険の説明資料など、会社が用意している営業ツールをもっと有効活用できることにも気がついた。

前段階の制度が自信に

とはいえ、男女を問わず転勤制度に対する懐疑論もある。夫婦共働きの世帯が増えるなかで、経験の幅を広げる以上に、女性が働き続ける足かせになっているとの見方もある。それを踏まえつつ、あえて転勤の機会を提供する制度を掲げたのは、自信があったからだ。

実は東京海上には、ワイド型の前段階とも言える制度がある。代表例が「JOBリクエスト」だ。「この地域でこの仕事、この役職の人材が欲しい」という募集がかかり、その仕事に関心のある人が応募する仕組み。2012年からは産休などでの欠員を埋めるために1年間限定で他地域から人材を募る「お役に立ちたい」という制度も加えた。過去3年間で両制度を利用した社員は約300人。「新しい気付きがあり、良い経験になったという声を多く聞いた」(人事企画部の小瀬村幸子担当次長)

一方で、これらは仕事内容や役職を限定して募集する仕組みのため、自分の経験や志望と合致しないと手を挙げにくいという課題もあった。ワイド型という仕組みを設けることで、より幅広い人が転勤に挑戦できるようにした。

導入にあたり、気をつけたこともある。「ワイド型を選んだから偉い、と誤解されないように注意している」と小瀬村氏は言う。赴任地での経験を通じて本人が成長すれば評価に反映するが、ただ選んだだけで評価しないことを上司にも徹底している。そうでなければ、子育てや介護などの事情で地域を動けない社員にとって不公平になってしまうからだという。

ワイド型を導入して約1年。「成果を判断するにはまだ早い」と高木氏は言う。制度は知られるようになったが、実際に「良い、悪い」といった反響が出始めるのは佐藤さんのような実例が増えるこれからだからだ。「あえて転勤」は根付くか。先進企業の動きに関心が集まっている。

キャリア支援、新たな挑戦~取材を終えて~

「ワイド型ばかりに脚光があたるのは……」。取材を申し込んだ当初、東京海上日動火災保険の人事部門にはためらいがあるようだった。「制度に手を挙げる人が良くて、挙げない人がダメという印象を持たれると困る」というのが理由だ。取材中も「ワイド型はあくまでオプション」と繰り返し強調された。

人事部門が慎重な姿勢なのは「転勤」をめぐる議論が盛んになってきたからだろう。日本企業の雇用システムの一翼を担う転勤制度だが、共働き世帯が増えるなかで働き手への負担の大きさが指摘されるようになってきた。記者のまわりでも自身や家族の転勤と子育てなどの両立に悩む人は多い。

一方で、人員配置の最適化や人材育成に一定の効果があるのも事実だ。「行き来できる」という東京海上の施策は、転勤の課題が顕在化しないようにしつつ効用を引き出すという壮大な実験にも見える。

(佐藤浩実)

〔日本経済新聞朝刊2017年3月27日付〕

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