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退去時の敷金 通常使用なら「全額返還」が原則

2017/3/30

 専門業者によるハウスクリーニング代は家主負担が原則だが、賃貸借契約書の中には特約として数万円の入居者負担を定めているものがある。東京都の条例では不動産業者に対し、費用負担について入居者に説明することを義務付けており、ハウスクリーニング代などを入居者負担にするなら、契約時に書面に記載する必要がある。

簡易裁判所の「少額訴訟」で家主に返還を求めることができる

 ほかにも注意点がある。不動産コンサルタントの長谷川高氏は「入居時からあるキズや汚れなどは、トラブルにならないよう写真撮影して不動産業者に指摘しておきましょう」と助言する。入居時に貼り替えなかったクロスなどはすでに減価償却が進んでおり、その分、入居者負担は少ないはず。いつ貼り替えたものなのか、退去時に不動産業者に説明を求めればいい。

 こうした敷金返還ルールはインターネットなどで入居者にも広く知られつつあるし、大手の不動産業者もおおむねルール通りに敷金を返還している。ただ、ルールの周知が十分でない地方都市の家主や中小の不動産業者などには古い商習慣が残っていることがある。「敷金から高額な原状回復費用を差し引いたり、追加の費用を請求したりすることが少なくない」(永井氏)

 ルールに基づいて不動産業者に掛け合っても十分な敷金が返還されなければ、簡易裁判所の「少額訴訟」で家主に返還を求めることができる。簡裁には敷金返還のための訴状のひな型があり、手続きは自分で簡単にできる。「少額訴訟をします」と不動産業者に伝えるだけで敷金が返ってくることもある。

 不動産業者は物件管理や入居者募集で継続して家主から報酬を得ているため、敷金の精算について「家主側の負担を減らそうとする面がある」と長谷川氏は指摘する。敷金から過大な修繕費用が差し引かれていないか、明細書によく目を通したい。

(表悟志)

[日経プラスワン2017年3月25日付]

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