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退去時の敷金 通常使用なら「全額返還」が原則

2017/3/30

クロスは貼り替え費用は家主も負担する

 賃貸住宅の退去時の敷金返還を巡るトラブルは少なくない。普通に暮らすうえで避けられないキズや汚れまで、入居者負担で修繕しようとする家主や不動産業者がいるからだ。敷金返還の原則を知っていれば、余分な費用負担を避けられるだろう。

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 賃貸住宅の敷金や原状回復をめぐるトラブルは国民生活センターに寄せられるものだけで年間1万件を超える。その内容について、敷金トラブルに詳しい行政書士の永井恒司氏は「高額なクロス(壁紙)の貼り替え費用などを請求する不動産業者や家主が少なくありません」と話す。

 本来、クロスに限らず通常の使用によるキズや汚れなどの修繕費用は月々の家賃に含まれているため、敷金から引かれることはない。ところが、この原則を知らなかったばかりに泣き寝入りしてしまう入居者がいるというのだ。

図A

 では、どのようなキズや汚れなら通常使用とされるのか。国土交通省が公表しているガイドラインを見てみよう。

 例えば壁に画びょうで貼っていたポスターをはがすと、日焼け跡や画びょうの穴が残る。これは通常使用の範囲内。冷蔵庫の後ろの壁が黒ずむ「電気焼け」も同じ。いずれも修繕費用は家主負担だ。一方、手入れをせずに放置した台所の油汚れ、子どもの落書きなどは入居者負担になる。

 ただし、入居者に落ち度がある汚れも、貼り替え費用の一部は家主が負担しなければならない。内装は通常の使用と日差しなどによる経年劣化で年々価値が下がっていく。いわゆる減価償却だ。ガイドラインによると、クロスやカーペットなどは貼り替えてから6年で価値がほぼゼロになる(図のaの線)。この分は入居者には責任がない。

 入居者が負担するのは過失によって余計に価値を下げた場合だ(同bの線)。つまり、aとbの差額のみ負担すればいい。永井氏は「クロスの貼り替え費用を100%入居者負担にして敷金から差し引くのは、裁判所の判例やガイドラインなどのルールに反します」と強調する。

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