満員電車でもできる 好印象になる心の平熱の上げ方

心の温度が高い状態とは、「テンションが高い」状態とは違います。もっとほわっとした、機嫌が良いというだけではなく感謝の気持ちに近いもの、当たり前のことや周囲の人に対して自然に感謝をしているような状態のことです。こういう状態では、ほかの人に対して容易に心を開くことができますので、人と対面するときもいい印象が残せるでしょう。

対面した相手が、自分の苦手なタイプだったとき。そのときこそ、自分の方から先手で心を開くことが大切です。自分が苦手だと思っているときは、相手もこちらのことを苦手だと感じていることが多いもの。先手必勝でこちらから心を開いていくことです。あいさつもそのためのものです。仕事でかかわる相手の場合なら特に、相手に心の扉を開いてもらわないと物事が始まりません。

まずは「心にも温度がある」と意識してみましょう。別に、その温度を上げよう、上げようと思わなくても構いません。心の平熱を常に高めに保つ、そのために自分を律するということもマナーのうちだと認識するのです。

この機会に自分の「言葉遣いのクセ」をチェック

マナーの5原則のうち、「言葉遣い」も、30~40代であれば上級編が求められるようになってきます。

何かを依頼する際には、何度もご紹介した「忙しいところすみませんが」「恐れ入りますが」といったクッション言葉をつけ、「~をお願いできますか?」という伺い型に。お断りをしたり、「~はできません」ではなく、否定形を極力使わない表現に言い換えます。ネガティブなことを話さなくてはならない際は「後よし話法」(「私は短気なところがありますが、明るい性格です」など、良いことを後のほうに話す)や、前にもお話ししたハンバーガー話法をスムーズに使えるようにしたいものです。

自分の「言葉のクセ」もときどきチェックしてみましょう。無意識に使っている言葉のクセが、もしかしたら自分自身の印象を損ねているかもしれません。相手の発言に対して「でも……」、「そうではなくて……」などと、まず否定的な言葉で受けるクセがないでしょうか。相手の話はまず肯定的に受け止め、その後で自分の言いたいことを伝え、最後に「どうでしょう」と伺いを立てる、3ステップを用いた自然な話し方を身に付けておきたいものです。

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私自身、心の温度が上がっているなと実感するときは相手と良い関係を築くことができ、仕事でも私生活でも自然と物事がうまく回り始めます。「自分を律するマナー」といっても厳しいものではありません。私自身の方法は、目をつぶり、深呼吸を1回します。そして、たんぽぽのほわほわの綿毛や、この春の季節であれば菜の花、桜の花をおでこの辺りでイメージします。すると、不思議と心が落ち着き、どんなに時間に追われて忙しくても、気持ちに余裕が生まれ、ほほ笑んでいられます。満員電車の中でもできることです。

年度末、新年度を迎えるにあたり、業務も忙しく、また私生活でも子育てや介護などを抱えて大変な思いをなさっている方もいらっしゃるでしょう。そのような中、あなたの心の平熱が心地よい温度になり、相手の立場に立って思いやることができる自然体のあなたの良さが花開くことを願っています。花開いたあなたの印象は、好印象であるに違いありません。

西出ひろ子
マナーコンサルタント・美道家。英国の民間企業WitH Ltd.ウイズ・リミテッド日本支社代表を務めたのち、ヒロコマナーグループの代表として、ウイズ株式会社、HIROKO ROSE株式会社、一般社団法人マナー教育推進協会を設立。企業や教育機関における研修・コンサルティング、マナーを軸に健康、美容、ファッションなどトータルな人材育成、人材プロデュースも行う。「日本文化を気軽に日常に!」をコンセプトにMade in JAPANのフォーマルバッグをプロデュース。著書は70冊以上、近著は『運のいい人のマナー』(清流出版)。
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