彩奈さんが手がけるロゼワインは、中途半端なロゼとは一線を画している。留学先のボルドーでは、特に暑い時期にテラスでよくロゼを飲んでいたことから「日本でも複雑な味わいのロゼを」と思い、2008年より造り始めたのがグレイスのロゼだ。ぶどうが育つのは、日照時間が日本一、ひまわり畑で有名な山梨県明野町の自社農園。だが2016年は秋口の長雨でぶどうの色づきが悪く、苦労を強いられた年だった。できあがった2016年のロゼワインは、逆境をバネにストイックにぶどうと向き合った彩奈さんの魂がこもったワイン。旧樽(きゅうだる)で発酵、貯蔵しているため、すっきり爽やかだけでは終わらないのが特徴で、きりっと冷やせば白ワインのように、温度が上がるにつれ赤ワインのようにタンニンやスパイシーさが楽しめる万能なロゼだ。花見のおともに1本持っていけば、重宝すること間違いない。

▼グレイスロゼ 2016 
販売:中央葡萄酒株式会社 TEL0553-44-1230 
希望小売価格:2700円(税込み) 
公式オンラインショップ https://www.grace-wine.com/shop/

今が飲みごろ、するする飲める微発泡自然派赤ワイン

徐々に暖かくなり泡・白・ロゼが抜群においしく感じる季節だが、宴が進めば、やはり赤ワインが飲みたくなるもの。かといって、きちんとしたグラスでゆっくり楽しみたい高級ワインは、花見の外飲みには向かない。花見シーンにぴったりなのが、山形県で二番目に古い歴史をもつタケダワイナリーの「サン・スフル赤」。『日本人なら知っておきたい 日本ワイン厳選3本』でも紹介した「ドメイヌ・タケダ ベリーA古木 樽熟成」がいいグラスでじっくり味わいたいワインだとしたら、こちらはコップでカジュアルにも楽しめるワイン。発酵途中で瓶詰めを行い、微発泡のため王冠を使用しているところも、抜栓しやすく外のみに最適。

「2013ヴィンテージはちょうどこなれてきて、いまちょうど飲みごろ」とタケダワイナリー専務の岸平和寛(きしだいら・かずひろ)さんがいうように、リリース直後に飲んだときよりも、まろやかで、格段に旨味がのっている。酸化防止剤の亜硫酸を使用しない「サンスフル」、さらに無ろ過という自然なつくりのため、ワインはデリケート。おいしく飲むには冷暗所で保管することをおすすめする。ワインはほのかに濁り、ボトルの底には澱(おり)があるが、旨味成分だと思って安心してほしい。日本固有のぶどう品種、マスカット・ベリーAの特徴でもあるキャンディー香は控えめで、ぶどう本来の力強さと凝縮感が存分に楽しめる1本。花見のつまみの定番、焼き鳥などはもちろん、やや土っぽさを感じるので、根菜を使った料理とも相性がいい。舌の肥えた知人にラベルを隠して飲んでもらい、値段を当ててもらったところ、「これで4000円位だったらうれしい」と回答、正解をいうと仰天していた。一度飲めば、自宅用に買い足したくなるだろう。2013年ものが無くなる前に筆者も数本買い足したい。

▼タケダワイナリー サン・スフル 赤 2013 
販売:有限会社タケダワイナリー TEL023-672-0040 
希望小売価格:1800円(税抜き) 
公式オンラインショップ http://www.takeda-wine.jp/

希少品種から造られた思わず笑顔になる甘口ワイン

最後に、大人数の席で魅力を発揮する、とっておきの日本ワインを紹介したい。「香りが華やかで、暖かくなる春の時期におすすめです」と奥野田ワイナリーマダムの中村亜貴子さんがすすめてくれたのは、甘口のロゼ「ラ・フロレット・ローズ・ロゼ」。女性らしく優しい雰囲気のバラのラベルは、ワインの外観、香り、味わいからイメージを膨らませ、マダム自ら描いたもの。このワインを飲んで、おいしいと言わない人はいないだろう。ワインに使われるミルズという黒ぶどう品種は、山梨県でも栽培面積が少ない希少な品種。一度嗅いだら忘れられないライチや白桃のような華やかな香り、とろりとした舌触り。ぶどう本来の甘みとリッチな味わいが魅力の1本だ。マダムおすすめのマリアージュは、「お重のなかにある甘辛い食べ物。とくに塩気のあるゴルゴンゾーラチーズなどとは絶妙の相性です」。甘口ワインはデザートに合わせるのが鉄板だが、あえて塩気のある食事と合わせると、違った楽しみ方ができるそう。「2人で1本というよりは、複数人でのお花見のときなど、多種多様なワインのなかの1本として楽しんで頂くと、より個性的なキャラクターが生きる」とたのしみ方を教えてくれた。だれしもを笑顔にするワイン、お花見のおともにぜひ加えたい。

奥野田ワイナリーの中村夫妻

▼奥野田葡萄酒 ラ・フロレット ローズ・ロゼ 2015 
販売:奥野田葡萄酒醸造(株) TEL0553-33-9988 
価格:1800円(税抜き) 
公式オンラインショップ http://okunota.jp/

なお、日本ワインは生産量が少ないものが多い。公式オンラインショップで在庫がない場合もある。今回紹介したワインの多くは、日本ワインに力を入れている千葉市のワインショップいまでやのサイト「IMADAY」で手に入る。

(ライター 水上彩)

MONO TRENDY連載記事一覧