マネー研究所

Money&Investment

面倒な個人型DCの加入 スマホやロボアドがお手伝い

2017/3/26

 個人型確定拠出年金(DC)「iDeCo(イデコ)」の対象が現役世代のほぼ全員に広がってまもなく3カ月。節税効果が大きく老後資金をつくるのに有利な制度だが、金融機関選びや手続きが面倒という声は多い。加入の手助けや運用相談を拡充する金融機関は増えている。こうしたサービスも活用し、自分に合った金融機関でDCを始めよう。

 厚生労働省がまとめた1月末のイデコの加入者は33万人強と前月から8%増えた。伸び率は高いが、対象者(約6700万人)に占める比率は0.5%弱にとどまる。本格普及は道半ばだ。

 見逃せないのが加入手続きの手間。金融機関から申込書類を取り寄せて自分で記入する例が多いが、記載事項が多く複雑だ。「提出された申込書の3~4割が記入不備。出し直しで加入が1カ月遅れる例もある」(ネット証券)

 「申込用紙の記入がスマホで10分でできる」のは、個人型DCを申し込める金融機関の一つ、MYDC(東京・港)。ロボアドバイザーを手掛ける、お金のデザイン(同)などが出資する。間違いやすい部分を自動的に画面上で作成できるように工夫した。みずほ銀行、りそな銀行などもパソコンで短時間で作れる。

■最適な配分提示

 「コールセンターやウェブサイトは加入後も長期で利用するので重要」(確定拠出年金教育協会の大江加代氏)。加入を検討する金融機関の状況を確認しておきたい。例えば受付時間が平日は午後9時までと長く、土日も対応するのは金融機関の3割弱だ。

 ただ個人がコールセンターの質を判断するのは難しく、ウェブサイト全体は加入後しか見られないことが多い。参考材料の一つがサポート体制を評価する国際団体、ヘルプデスク協会の格付け。委託先を含めて、DC部門で三井住友銀行、野村証券、日本生命保険は両方で「三つ星」の高評価を得ている。

 イデコを人生設計にどう使うかなどを相談したい場合、りそな銀行はファイナンシャルプランナー(FP)を無料で派遣する。同行のサイトから申し込める。多くの人が迷うのが資産配分。みずほ銀行などでは、質問に答えることで最適な配分例を示すロボアドバイザーを用意している。

■運用コスト抑制

 こうしたサービスには有益なものも多いが、それだけで決めるのではなくコストも必ず比べよう。預貯金中心なら口座管理費用の低さが重要だ。楽天証券(資産10万円以上)などは年間の口座管理費用は2004円だが、7000円台と高い金融機関もある。「サービスの差が口座管理費用の差に見合うかも確認したい」とファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子氏は話す。大和証券が4月から新プランで口座管理費用を引き下げるなど見直しも続く。

 一方、投信で運用する場合は長期になるほど、保有コストである信託報酬の差が口座管理費用の差より大きくなる。表の金融機関などでは年0.1~0.2%台の超低コスト投信が選べる。

 会社員はイデコ加入資格があることを示す事業主の証明が必要。しかし中小企業などではイデコがどんな制度かよく理解していない例がある。「このため手続きを渋る“イデコハラスメント”も起きている」(FPの山中伸枝氏)。国民年金基金連合会では加入希望者向けに加えて、従業員からイデコ加入の手続きを求められた事業主への電話相談も始めている。

(編集委員 田村正之)

[日本経済新聞朝刊2017年3月18日付]

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL