子どもの教育、あきらめない 奨学金の最新事情

2017/3/30
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子どもの成長はうれしいもの。しかし、成長するにつれて気がかりになってくるのが教育費です。

特に、大学や専門学校などの高等教育にかかる費用は、家計に大きな負担となります。そんなとき頼りになるのが、「奨学金制度」。国や自治体、大学といった様々な組織が、学業への意欲や能力がある学生に、就学費用を給付したり貸与したりしています。

ここでは、受給者の9割が利用する日本学生支援機構の奨学金を中心に紹介していきます。

主流は学生本人に返済義務がある「貸与型」

奨学金は、返還の必要がない「給付型」と、返済義務がある「貸与型」に大別されます。日本学生支援機構の奨学金は従来、「貸与型」だけでした。具体的には、無利子の「第一種」、有利子の「第二種」、そして入学時の一時金にあてるための「特別増額貸与」(有利子)の3タイプで、第一種と第二種の併用も可能です。

希望すれば誰でも受給できるわけではなく、学力が一定以上であるとか、収入が一定以下(たとえば世帯3人の給与所得者の場合、第一種で696万円、第二種で1036万円が上限額の目安)といった基準があり、実際に受けられるかどうかは審査によって決まります。また、貸与型奨学金は、保護者が借り入れて返済を行う「教育ローン」とは異なり、学生自身が返済するため、本人がそのことを自覚し、将来の人生設計などを考えたうえで申し込むことも必要です。

国が応援する給付型奨学金がスタート

今や大学生の約半数が何らかの奨学金を受給していますが(日本学生支援機構「学生生活調査」2014年度)、一方で課題もあります。非正規雇用の増加などで本人の所得が低かったり、親の経済状況が悪いといった理由から、卒業後の返済が困難になっている人が少なくないのです。

そこで国は、経済的理由で大学などへの進学をあきらめることがないよう、給付型奨学金の創設や、卒業後の返済月額を所得に応じて引き下げられる「所得連動返済型奨学金制度」の導入などを盛り込んだ「高等教育進学サポートプラン」を発表しました。本格実施は2018年度からですが、一部、2017年から先行スタートします。

新たに創設される給付型奨学金の対象は、住民税非課税世帯、かつ一定の学力・資質要件を満たす学生で、受給するには在籍する高校長の推薦が必要です。

給付額は、「国公立・自宅」で月2万円、「国公立・自宅外」と「私立・自宅」が月3万円、「私立・自宅外」が月4万円となっています。

給付型は貸与型よりさらに基準が厳しく、成績が著しく悪かったり、不適切な行為をした場合は給付金の打ち切りや返還を求められます。国の税金から支援を受けることになるので、しっかり学んで、社会に役立つ人になってくださいということなのでしょう。

長年待望され、ようやく誕生した国の給付型奨学金ですが、非課税世帯の進学者は6万人以上なのに対し、今回の対象は1学年あたり2万人。そもそも課税世帯は給付型の対象外です。

所得が高くても受けられる自治体や民間の給付型奨学金

国の奨学金制度はこのように実際にはかなりハードルが高いのも事実です。しかし、自治体や民間にもさまざまな給付型の奨学金があります。

例えば、電通育英会は一定の基準を満たした学生(一般枠約60名、芸術枠約10名)を対象に給付型奨学金を行っています。また、セブン&アイ ホールディングスの創業者の伊藤雅俊氏が創立した伊藤謝恩育英財団は、2018年4月に全国約40校の指定大学への入学を目指す高校3年生(2017年4月1日時点)に対し、入学一時金と月額6万円を支給する給付型の奨学金を支給しています。そのほか、各大学でも優秀な学生を集めようと、独自に奨学金制度を準備していますので、あきらめずにいろいろ調べてみることをおすすめします。

和泉昭子
生活経済ジャーナリスト、ファイナンシャル・プランナー。大学卒業後、出版社・放送局を経て、フリーのキャスターに転身。95年CFP(ファイナンシャル・プランナー上級資格)取得後、現職へ。現在は、メディア出演や講演活動、個人相談などを通じて、マネー&キャリア情報を発信。日本年金機構「運営評議会」委員、内閣府「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」委員等、公職多数。株式会社プラチナ・コンシェルジュ取締役会長。

(構成 日経BPコンサルティング 「金融コンテンツLab.」)

[参考] 日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(http://consult.nikkeibp.co.jp/sp/money/)は、難しくなりがちなお金の話題を、分かりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信に当たっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。
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