ハリウッド映画『攻殻機動隊』 仕掛け人は大物キラー編集委員 小林明

さらに驚いたのはそれらのアイデアを実際の撮影で何の惜しげもなくバッサリと切り捨ててしまうこと。「もったいないなと思ったけど、ハリウッドの映画制作現場には余計なものをそぎ落とそうという勇気と決断力がある。だからこそ凝縮された素晴らしい作品ができると分かった」と感心する。

同時に士郎正宗さんの原作が持つ構成力、想像力のすごさも改めて再認識した。

「いくら設定や筋書きをいじっても、最終的には作品が原作の枠のなかにちゃんと収まっている。リメークに負けないオリジナルの強さがある。これからもまだまだ違った新しい派生作品が生まれるに違いない」と夢を膨らます。

アラッドさんを米国法人会長に迎える、超大物との信頼関係を形で示す

大物プロデューサー、アヴィ・アラッドさんとの友情も大きな財産になった。

電脳、義体など科学技術が進む近未来社会が舞台 (C)MMXVI Paramount Pictures and Storyteller Distribution Co. All rights Reserved.
ルパート・サンダース監督 (C)MMXVI Paramount Pictures and Storyteller Distribution Co. All rights Reserved.

「ものすごい大豪邸だった」というアヴィ・アラッドさんの別荘やハリウッドの自宅で議論や食事を何度もともにするうちに信頼関係が深まった。その後、石川さんは自らが社長を務めるアニメ制作会社、プロダクション・アイジーの米国法人会長にアヴィ・アラッドさんを迎えたいと打診したところ「即座に快諾してくれた」という。互いの信頼関係を形として内外に示すためだ。

映画「キル・ビル」のアニメ部分の制作をプロダクション・アイジーが担当した際にはクエンティン・タランティーノ監督とも親しくなった。

“大物キラー”として数々の有力クリエーターたちにヒット作や話題作を作らせてきた石川さんにとって、また新たな切り札が1枚加わった格好だ。

漫画原作からアニメ・小説・ゲームなど派生作品が続々

最後に「攻殻機動隊」の原作とアニメ映画、テレビアニメ、実写映画など派生作品の全体像をつかんでおこう。

「攻殻機動隊」の原作漫画と派生作品

「攻殻機動隊」は1989年に士郎正宗さんが発表した漫画。舞台は科学技術が高度に発展した21世紀の日本。テロ犯罪やサイバー攻撃などを事前に察知し、その被害を最小限に防ぐためにテロ組織と秘密裏に戦う内務省直属の公安警察組織「公安9課」(通称=攻殻機動隊)の活躍ぶりを描いた。

1995年には劇場向けアニメ映画(押井守監督)、2002年にはテレビアニメ(神山健治監督)が公開されたほか、その続編(アニメ映画「イノセンス」など)やビデオゲーム、小説、関連コミックまで様々な派生作品が多数の作家によって生み出されてきた。4月7日に日本公開されるハリウッド実写映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」はシリーズ初の実写映画(北米公開は3月31日)となる。

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