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ハリウッド映画『攻殻機動隊』 仕掛け人は大物キラー

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

電脳、義体化など科学技術が高度に発達した未来を予言し、映画「マトリックス」にも多大な影響を与えた日本の漫画「攻殻機動隊」がハリウッドで実写映画化され、いよいよ4月7日から公開される(邦題「ゴースト・イン・ザ・シェル」)。主役である世界最強の捜査官・少佐役を米トップ女優、スカーレット・ヨハンソンさん、上司の荒巻役を日本のビートたけしさんがそれぞれ熱演。さらに日本からは桃井かおりさん、福島リラさんらがサプライズ起用されるなど話題は豊富だ。

少佐・ヨハンソンさん、荒巻・ビートたけしさん、桃井かおりさんらも出演……

実写映画化を仕掛けたのは、「攻殻機動隊」のアニメ化や映画「キル・ビル」の制作などにも携わった"異端児プロデューサー"の石川光久さん(プロダクション・アイジー社長)。

「攻殻機動隊」の伝説の原作者である士郎正宗さん、そのアニメ映画の押井守監督、さらにハリウッド実写映画の超大物プロデューサー、アヴィ・アラッドさんらとの懸け橋にもなったという。石川さんにプロジェクトのきっかけや交渉の舞台裏、映画制作の秘話などを語ってもらった。

すべての出発点は10年前に遡る。

2007年1月15日――。プロダクション・アイジーは「攻殻機動隊」の原作利用権を保有している講談社と実写化エージェント契約を結んだことを発表した。「世界に愛好者が多い『攻殻機動隊』を実写映画にしたいと2006年くらいからハリウッドの映画制作会社が何社も名乗りをあげてきた。そこでプロデューサーを誰にお願いするか検討することにした」と振り返る。

10年前が出発点、「X―メン」「スパイダーマン」の米大物プロデューサーを選任

映画「X―メン」「スパイダーマン」などを手掛けた敏腕プロデューサー、アヴィ・アラッドさんに最終的に白羽の矢が立ったのは「名門の米マーベル・スタジオの創業者であり、メジャー映画会社への強力な人脈を持ち、資金調達力も高い」と判断したから。ハリウッド映画作品は誰にも分かりやすい筋書きや設定が多いが、「これからの作品は分かりやすさだけではダメ。『攻殻機動隊』が描いている難解な世界観や哲学がもっと必要だ」という意識を持っていたことも決め手になった。

米国での映画制作はプロデューサーの権限が圧倒的に強いとされる。数々のヒット作を手掛けた実績があるアヴィ・アラッドさんはうってつけの人選だった。こうして複数候補のなかから制作会社(ドリームワークス・ピクチャーズ)や配給会社(パラマウント・ピクチャーズ)が決まり、さらに監督として英国人のルパート・サンダースさんを抜てきする体制も固まった。

伝説の原作者の反応は? 「余計な口出しはせずに任せる」

ところでハリウッド実写映画の脚本や配役について、原作者の士郎正宗さんはどう考えていたのだろうか?

士郎さんは公には自らの姿や素性をほとんど明らかにしていない伝説的な人物。「大阪の出版社(青心社)の事務所や神戸の有名ホテルの喫茶店などで士郎さんとしばしば面談してきた」という石川さんは「アニメ化でも実写映画化でも内容には余計な口だしはせず、制作はすべて監督に任せるのが士郎さんの基本スタンス。描きたいことは原作の漫画にすべて盛り込んでいる。それをどう解釈するかは読み手、描き手の自由という考え方だった」と話す。

様々な作家の創造性を「パラレルの世界」として許容することが、原作の持つ潜在的な可能性を引き出す最善策だと心得ているようだ。

主人公に"白人化"の批判も、押井守監督がロケ視察でお墨付き

「アジア人キャラクターのホワイトウォッシュ(白人化)ではないか」――。

主人公の少佐(原作では草薙素子)を米国の白人女優、スカーレット・ヨハンソンさんが演じることを巡って一部の愛好家からは戸惑いや批判も寄せられた。

だが石川さんはこんな逸話を披露する。

「攻殻機動隊」を劇場アニメ映画化した押井守監督、テレビアニメ化した神山健治監督らをロケ地の香港まで連れて行き、撮影現場を視察してもらうことにした。最初、押井監督はロケ地への視察を嫌がっていたが、撮影現場のスカーレット・ヨハンソンさんを見学しているうちに「『筋肉の付き方、後ろ姿、たたずまい、歩き方などすべてがまさに草薙素子だ』と最後はべた褒めするようになった」という。

先入観を持たずに作品を純粋に楽しむのがいいかもしれない。

ちなみに作品のなかでビートたけしさんはセリフを日本語で通しているそうだ。電脳化された世界なので、言語が異なっても問題なく意思疎通できるという設定になっている。

脚本をバッサリ切り捨てる勇気、原作の構成力のすごさも再認識

石川さんは今回のプロジェクトを通じて、米国の映画作りの大胆な手法やレベルの高さを思い知ったという。

たとえば脚本。

士郎正宗さんの原作を独自に解釈し、読み手を欺いたり、楽しませたり。「こんな手があったのか」と思わずうなる斬新なアイデアがちりばめられていたという。

さらに驚いたのはそれらのアイデアを実際の撮影で何の惜しげもなくバッサリと切り捨ててしまうこと。「もったいないなと思ったけど、ハリウッドの映画制作現場には余計なものをそぎ落とそうという勇気と決断力がある。だからこそ凝縮された素晴らしい作品ができると分かった」と感心する。

同時に士郎正宗さんの原作が持つ構成力、想像力のすごさも改めて再認識した。

「いくら設定や筋書きをいじっても、最終的には作品が原作の枠のなかにちゃんと収まっている。リメークに負けないオリジナルの強さがある。これからもまだまだ違った新しい派生作品が生まれるに違いない」と夢を膨らます。

アラッドさんを米国法人会長に迎える、超大物との信頼関係を形で示す

大物プロデューサー、アヴィ・アラッドさんとの友情も大きな財産になった。

「ものすごい大豪邸だった」というアヴィ・アラッドさんの別荘やハリウッドの自宅で議論や食事を何度もともにするうちに信頼関係が深まった。その後、石川さんは自らが社長を務めるアニメ制作会社、プロダクション・アイジーの米国法人会長にアヴィ・アラッドさんを迎えたいと打診したところ「即座に快諾してくれた」という。互いの信頼関係を形として内外に示すためだ。

映画「キル・ビル」のアニメ部分の制作をプロダクション・アイジーが担当した際にはクエンティン・タランティーノ監督とも親しくなった。

"大物キラー"として数々の有力クリエーターたちにヒット作や話題作を作らせてきた石川さんにとって、また新たな切り札が1枚加わった格好だ。

漫画原作からアニメ・小説・ゲームなど派生作品が続々

最後に「攻殻機動隊」の原作とアニメ映画、テレビアニメ、実写映画など派生作品の全体像をつかんでおこう。

「攻殻機動隊」は1989年に士郎正宗さんが発表した漫画。舞台は科学技術が高度に発展した21世紀の日本。テロ犯罪やサイバー攻撃などを事前に察知し、その被害を最小限に防ぐためにテロ組織と秘密裏に戦う内務省直属の公安警察組織「公安9課」(通称=攻殻機動隊)の活躍ぶりを描いた。

1995年には劇場向けアニメ映画(押井守監督)、2002年にはテレビアニメ(神山健治監督)が公開されたほか、その続編(アニメ映画「イノセンス」など)やビデオゲーム、小説、関連コミックまで様々な派生作品が多数の作家によって生み出されてきた。4月7日に日本公開されるハリウッド実写映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」はシリーズ初の実写映画(北米公開は3月31日)となる。

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