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ロールスのようなライン ボルボ、新しい高級の作り方

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2016年に上陸するなり国内で1000台以上が売れた新世代フラッグシップSUV「XC90」。ブランドとして久々に年間1万5000台弱を販売した日本のボルボをけん引した感がある。2016年のグローバル販売53万台は過去最高で、今、ボルボは再び輝きつつある。

先日、新セダン&ワゴン「S90」「V90」発表時に来日したデザイン部門バイスプレジデント、ジョナサン・ディズリー氏を小沢コージが直撃した。

ピンチはチャンスでもあった

小沢コージ(以下、小沢) 2010年以降、新たに生まれ変わって作られた新生ボルボプロダクトは予想以上です。特にXC90をはじめとする新世代90シリーズのデザインは、温和なスウェーデンらしさを保ちつつも前よりずっとノーブル。個人的には北欧のレンジローバー、北欧のロールス・ロイスと呼びたくなるムードです。どうしたらこんな改革ができるんでしょうか? その分、価格も高めにはなってますけど。

ジョナサン・ディズリー氏(以下、ディズリー) ノーブルとおっしゃいましたけど、まずはお客様ありきです。そもそもボルボのお客様は教育レベルの高い医師や弁護士が多く、それは日本でも同じで、まずはデザインやボルボブランドに対する理解が深い。

小沢 そういうお客様にはピッタリの変化だったということですよね? 北欧らしさを保ちつつも、よりノーブルという方向性が。

ディズリー もう一つ、ボルボは2010年にフォードから中国のジーリー・ホールディング(浙江吉利控股集団)に買収されたわけですが、そこはホールディングカンパニーなのでフォード傘下時代にはなかった自由を与えられ、独立しました。それまでフォードと共有していたパーツがなくなり、プラットホームから全部作らなければいけなくなったわけですが、デザイナーにとってはそれが絶好のチャンスになったんです。

小沢 つまり今回すべてが新しくなったというよりも、今までやりたくてもできなかったことが初めて全部できたということですか。

ディズリー そうです。車内に使うマテリアルの選別からすべて自由で、今ではボルボ車を買う大きな理由にデザインが挙がるようになりました。

小沢 今まではできなかったことって具体的にはどんな部分ですか。

ディズリー 例えばキーですが、以前はサーキットボードが中に入っていて形状が決まっていました。しかもダッシュボードの穴に差し込む必要があったので、フォード傘下のアストンマーティンやジャガーとキーのカタチが一緒だったんです。当時ボルボはすでに今のiPhone 5のようなキーデザインを設計していましたが、採用は無理でした。しかし今はイチからボルボ専用に設計できて、形状をiPhoneのようにできるどころか、ボタンを全部サイドに付けることができ、ポケットの中に入れても押し間違いが防げるようになったし、内装と同じ本革やそれこそカーボンファイバー、ウッドなども貼れるようになりました。これぞスカンディナビアンスタイルです。

ドイツの後追いじゃ1番になれない! もう、やるしかなかった

小沢 一方、逆に失敗できなくなったというか、周りと競争しすぎてスカンジナビアンらしさがなくなくなっちゃった部分もある気がするんですが。新型ワゴンのV90ですけど、リアハッチがずいぶん寝ちゃってイマドキのスポーティーさを追い過ぎてはいないですか。

ディズリー いや、失敗しても大丈夫でしたよ。もともと何かしなきゃダメだし、もうやるしかないという状態でしたから。こうやって自分たちの考えるスカンディナビアンスタイルを追求するのか、ドイツ勢の後追いをやって失敗するのか。最初から2番手を狙ったら4位か5位で終わりますが、1位を狙えば1位になれる可能性がありますから。

小沢 それと僕がビックリしたのは今回クラシックなロールス・ロイスのプロポーションを取り入れたと明言したことです。今までボルボがあんな路線を狙ったことはなかった。まさしく北欧のレンジローバーたる風格で。

ディズリー コンペティションでより良いものを狙わなければいけない。さらに高みを目指さなければいけない。それを顧客は求めているんです。今回、お客様はボルボは本当に良いクルマを作ったなと言うでしょうし、私はお客様にボルボを持つことに誇りを持ってほしかったんです。ボルボは世界中から頑丈なクルマだと思われているし、今回レンジローバーよりいろいろな面、特に内装については優れていると思います。

小沢 ロールスから取り入れた部分に、フロントタイヤの位置とそこからフロントウインドーあたりまでを長く取ったデザインがあります。そのほかディテールで高級感を出してるポイントは何でしょう。

ディズリー フロントグリルからリアエンドまで一貫してつながるサイドのプレスラインです。実際に立って見るとよく分かりますが、高級なヨットの側面みたいなラインでボートシェイプといいます。しかもこのラインはこのフロントノーズの部分まで完璧につながってるのです。

小沢 ホントだ。まさにディテールに神は宿るの典型ですね。

ドイツ、そしてバウハウスから学んだ

小沢 ところであなたとあなたの上司のデザイントップのトーマス・インゲンラート氏は、どちらもドイツのアウディデザインにいたことがありますね。そこで学んだこととは何でしょう。

ディズリー アウディで良かったのはとてもたくさんのプロジェクトに関われたことですね。フルサイズカーも手がけましたし、4つの違ったタイプのデザインをして、マイナーチェンジにも関わって経験値が上がりました。

小沢 そこで高級車の作り方を学んだということですね。

ディズリー そうです。もっともアウディTTが出たころにはすでにバウハウスで学んでいましたが。

小沢 バウハウス? それってドイツの伝説的なアートと建築の学校ですよね。まだあったんですか?

ディズリー 私が在籍していたのは1994~95年ごろでしょうか。当時はアウディTTのデザインが好きだったんです。プロポーションもカーブもシートメタルも素晴らしくて、あれこそドイツ式のデザインでした。その後、「A4カブリオレ」を手がけましたが、バウハウス在籍時代に学んだのは、どんな小さなことでもちゃんとブランドにコネクトしているかどうかというこだわりです。小さなピースの一つ一つがすべてボルボブランドに合っているかどうか。実はそういうことを考えてないクルマは多いんですよ。私はそれをバウハウスでワシリー・カンディンスキーというアーティストに学びました。

小沢 なるほど。ディテールはすべてつながる。それが今のボルボデザインにも生かされているわけだ。しかし、これだけすべてのプロダクトデザインが国際化している今、スウェーデンらしさって難しくないですか。しかもあなたは英国人ですよね?

ディズリー それは逆に利点でもあって外国人のほうがかえってその国の文化であり、他とどこが違うのかが分かる部分もあるものです。それとロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学ぶのです。ブランドの背景にはなにがあるのか。ボルボがボルボたらしめているものかは何かを考えることとその重要性を。

小沢 うーん、デザインってやっぱり深い。たかがカタチですが、単なる表面的な造形美ではないってことですね。

ジョナサン・ディズリー氏:アウディデザイン、フォードモーターを経て2001年ボルボ・カーズ入社。16年にわたりインテリアおよびエクステリア部門で実務を経験。現在、ボルボ・カー・グループ上海デザインスタジオ所長兼デザイン部長バイスプレジデント。もちろん最新「90シリーズ」のデザインもリード。数々の名デザイナーを輩出した英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの修士号保有。1970年生まれ。英国籍、二児の父。

小沢コージ
自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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