「東大に一番近い女子校」 4つの黒板とノート術桜蔭中学・高校

ただ、桜蔭は決して『ガリ勉女子』の集団ではない。クラブ活動も盛んで、中1から高2までは必修なので、生徒は全員いずれかのクラブに属す。体育大会や文化祭、修学旅行など各行事にも力を入れている。例えば、体育大会は中1から高3まで5クラスを縦に割って5グループに分かれて競う形とするが、リーダーシップは高3や高2が担う。

「先輩が中1など後輩の面倒を見るが、優しくて文武両道に優れた『格好いい』先輩が憧れの対象になる。その先輩が、受験で希望している大学に合格すれば、自分もとなる」。運動会をバネに先輩後輩の関係を重視する開成中学・高校に似ているが、桜蔭でもこのきずながやる気を起こす引き金になる。

ダラダラいない、午後5時には校外へ

数学や英語などのいわゆる主要教科ばかりを重視しているわけでもない。佐々木校長は「家庭科も大切にしています。中1から高1まで必修。高2、高3でもフードデザインを選択科目に入れている」という。ほかにも書道などの芸術系科目も大切にしている。そして何よりも「礼法」を授業に取り入れている学校は珍しい。もともと桜蔭は1924年に東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大)の同窓会組織「桜蔭会」が創立した名門女子校だ。今も佐々木校長自ら中1の道徳の授業を担任と隔週で担当し、「相手を敬う礼の心、相手の気持ちを考えて行動する心」の大切さを伝えている。

桜蔭中学・高校は1924年(大正13年)、関東大震災の翌年に誕生した伝統校だ

進学校のため遅くまで補習授業をやっているかというとこれも違う。原則午後3時10分に授業を終え、クラブ活動をして全員が午後5時には門を出る。「クラブ活動も活発にやっていますが、生徒は時間をうまく使っています。ダラダラとやるのではなく、経験を積み重ねる中で、自ら時間管理ができるようになっていきます」(佐々木校長)という。

もう地味じゃない

「女子校御三家」の筆頭といわれる桜蔭。東大合格者で断トツの実績を上げる一方で、ライバルの女子学院(東京・千代田)や雙葉学園(同)と比べて「地味」という風評もあった。しかし、東大卒タレントの菊川怜さんなど芸能界で活躍する卒業生もおり、イメージはだいぶ変わった。多くの桜蔭生が通う東大受験指導専門塾、鉄緑会(東京・代々木)の冨田賢太郎会長は「昔と違って桜蔭の生徒は明るいし、あか抜けている子が増えています」という。

桜蔭の住所は東京都文京区本郷。実は東大本郷キャンパスまで徒歩10分の至近距離にある。合格者でトップを走る東京医科歯科大学になると、わずか5分のほぼお隣さん。「毎年夏休みに、30人ほどの生徒が医科歯科大の研究室で実験をさせてもらっている」(佐々木校長)という。東大や医科歯科大の空気を間近で感じながら、勉学に励む桜蔭生。難関大は物理的にも心理的にも近い存在だ。

(代慶達也)

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