「東大に一番近い女子校」 4つの黒板とノート術桜蔭中学・高校

4つの黒板とともに桜蔭の特徴がノート術だ。「ある生徒は、ノートの左側ページに自分の解き方を書き、右側に先生や他の生徒の解き方を写し、比較して、考えながら自分独自のノートを作成していきます」と佐々木校長は話す。各担当の教師は生徒のノートのチェックも頻繁に行う。国語の教師でもある斉藤由紀子教頭は「授業が終わったら、アトランダムに4~5人のノートを集めてチェックします。授業の内容をどこまで理解しているか一目瞭然になります」と話す。生徒も「コツコツまじめ」だが、先生もまめで熱心だ。

4人に1人が東大、そして医学部に

桜蔭中学・高校の1学年の定員数は240人、5クラス編成だ。2017年は東大に63人が合格、4人に1人以上が進学している。同時に4人に1人が難関大などの医学部に進み、女子校では断トツの進学実績だ。東大や難関大医学部の合格率で見ると、東大合格36年連続トップの開成高校(1学年の定員数400人)と遜色ない。「特に医学部に強い。100人以上が合格するなど進学校全体でもトップの水準だ。東大理一や理二より難関の東京医科歯科大学の合格者でも、開成などを抑えトップを走っている」と東進ハイスクールなど進学塾の関係者は話す。

桜蔭中学・高校の佐々木和枝校長

男子は理系、女子は文系は偏見

なぜ桜蔭は理系に強いのか。佐々木校長は「そもそも男子は理系、女子は文系という考え方が偏見じゃないでしょうか」と話す。佐々木校長は桜蔭からお茶の水女子大に進学し、化学の教師となった。「この環境だと、何でも女子がやらなくてはいけない。実験で重いモノを持ったりする力仕事も、運動会の応援団長もです。男女共学校なら、いつの間にか男と女の役割が分かれ、男は男らしく、女は女らしくを求められる傾向があるかもしれません。しかし、桜蔭にはそんなバイアス(ゆがみ)はかかりません。もともと理系に強い女性はたくさんいますよ」という。

桜蔭出身で、女性経営者として史上最年少で会社を上場させた経沢香保子氏。現在はベビーシッターサービスを手掛けるキッズライン(東京・港)を経営している。桜蔭時代について「男子に頼ることができないので、何でも自分たちだけで解決しようという自立心が育まれた」と話す。

しかも桜蔭は理系のクラブが充実している。数学、化学、物理、生物、天文気象の5部があり、文化祭の時には校内に「サイエンスストリート」ができる。「ここでの面白い催し物を見学して桜蔭志望になる生徒も少なくない」(斉藤教頭)。その結果、桜蔭に理系好きの女生徒が集まる。

桜蔭の専任教師は56人。うち9割は女性教師だ。「普通の女子校よりも女性教師の割合が高いかもしれません。様々なネットワークを活用して優秀な人材を採用していますが、3分の1ほどが桜蔭出身者だからでしょうか。男性の先生方もいずれも優秀な方たちです」(佐々木校長)という。まさに『女の園』だが、理系の女性教師が多いことも理系志望の増加につながっているのかもしれない。

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