2017/4/2

スタンフォード 最強の授業

佐藤智恵(さとう・ちえ) 1992年東京大学教養学部卒業。2001年コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。NHK、ボストンコンサルティンググループなどを経て、12年、作家・コンサルタントとして独立。「ハーバードでいちばん人気の国・日本」など著書多数。

佐藤:確かに、20種類ぐらいメニューがあっても、多いとは思いませんね。ところが不思議なことに、私の場合、アメリカのサンドイッチ店で、パンを選んだり、ハムを選んだりするのが、とても苦痛なのです。それこそ、選ぶ前にクラクラしてしまい、結局お薦めセットを選んでしまいます。人によって適正な選択肢の数は違うということですね。

選択肢が多い方がうれしい人も

レバーブ:そうです。どんな状況で何を選択しているのか、どれだけそれを自分で選びたいか、などによって、適正な選択肢の数は違ってきます。「これを選ぶときは、選択肢が多いほうがうれしい」という人もたくさんいるのです。

佐藤:そうだとすると、新車販売店で、52種類の内装色や26種類の外装色を目の前にしても、嬉々として選ぶ人はいるわけですよね。どれだけ選んでも全然疲れませんよ、と。

レバーブ:そうなんです。私たちは、ドイツの新車販売店で自動車の専門家も普通の顧客と同じようなパターンで決断疲れをおこすのかを調査してみたんです。すると、面白いことに、彼らは全然疲れなかったんです。身体的な疲れを感じるタイミングというのは、人によってそれぞれですよね。それと同じで、決断疲れをおこすタイミングも人によってそれぞれなのです。

佐藤:そうなると、売る側は、主要な顧客がプロなのか、一般人なのかというところに注目して、店の品ぞろえを考えることが大切ですね。

※レバーブ准教授の略歴は第1回「衝動買いも予算オーバーも 『決断疲れ』が原因?」 をご参照ください。