彼らは人生で「世界のより大きな問題」と相対していくことを選んでいます。これは「自分よりも大きな目標に貢献する」というマインドセット(心の持ち方・考え方)につながります。自分たちの成功だけを考えるのではなく、自分たちが解決できる一番大きな問題は何かを考え、それを解決するための行動を起こしていく。そこに私は感心させられました。

ストレスを力に変えるために、人生の重要な目標を「自分より大きなもの」に置くと、同じ努力をするにしても、自分を「やる気にさせる」動機が変わります。「自分は能力が高い」「自分は他人よりも優秀である」ことを証明しようとするのではなく、自分が努力しているのは、もっと重要な目標に貢献するためだと思えるようになる。すると自分自身の成功にとらわれず大きな目標に向けて、周囲の人を応援したくなるのです。

フェイスブック創業者、マーク・ザッカーバーグの場合

もう1人は、フェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグです。彼は2015年に、パートナーの妊娠をフェイスブックで公表しました。その時、パートナーが流産を経験したことや、そこに至るまでのストレスについても触れた。すごいと思いました。

パートナーの流産について、公の場で書くことはほとんどないでしょう。彼ほどの著名人になれば、世間から難癖をつけられやすくなるものです。にもかかわらず、自らの弱みを吐露し、「自分も人間なんだ」と、公の場で見せた。彼と同じような苦しみを感じている人の中には、「自分は1人ではない」と、勇気づけられた人も多いと思います。

不安を抱え、人生でストレスを感じる経験をしながら、成功している人はたくさんいます。あるカンファレンスに参加した時、某企業の女性CEOがスピーチをしていました。米国では著名な人物で、成功して、非常にパワフルに活躍している方です。

そんな彼女が、不安症をずっと抱えていたというのです。不安症と上手につき合いながら、不安を力に変え、人生で成功してきたと。これはビジネスで成功するという意味で、とても良い例だと思います。

アスリートや専門家の多くが、同じことを言っています。彼らもたくさんの不安を抱えている、と。私が好きな言葉の1つに、米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士の言葉があります。

「不安というものが分からない人は、結局何も分からないのだ。不安というものがあるからこそ、それを使って私は深く考えることができるのだ」

成功した人は、「常に落ち着いていて、とても自信があって、不安は一切持っていない」と思われがちです。が、実際にはそうではない。ストレスを抱え、つらい経験もしている。そこから力を得て成功している人こそ、理想的な“成功の体現者”ではないかと思います。

「自信をなくしては、すぐに諦める」という悪循環

そうは言っても、失敗や逆境はやはり避けたい。そう考える人こそ、「失敗についての考え方」を変えるべきです。世の中の多くの人は、「失敗は何が何でも避けるべきだ」と思っています。自分の能力を超えた目標に挑んだり、新しいことに挑戦するために努力を始めたばかりの時には、ついそうした考え方になりがちです。

人間は何かで挫折するとすぐに、「やっぱり無理なんだ」と思いがちです――うまくいかなかったのは、自分の能力が足りないか、目標設定が間違っていたのかもしれない、と考える。そうやって、「自信をなくしてはすぐに諦める」という悪循環に陥ってしまいます。

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挫折や逆境から力を得る具体的な方法-書くことで回復
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