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先ごろ、「リーマン・ショック後に大きく落ち込んだ転職者数が、2016年、7年ぶりに300万人の大台を回復。人手不足やグローバル化で中年層の管理職らにも転職の門戸が広がっている」というニュースが注目を集めた。「転職35歳の壁」は本当に過去のものになったのか? 今回はそのニュースの裏側をひもとき、リアルな実態に迫ってみたいと思います。

「転職市場が大幅回復」という状況を整理

総務省が2月17日に発表した16年の労働力調査では、転職者数が前年より8万人増えて306万人となり、09年(320万人)以来の高い水準で、リーマン・ショック前のピーク(346万人)に向けて着実な回復が進んでいるそうだ。2月18日の日本経済新聞電子版の記事からポイントを抜き出すと、

●転職者数に占める35歳以下の若年層の割合はこの10年で低下が続く。
●45~54歳の転職者数は50万人と、統計を遡れる02年以降で最多。人数ではまだ25~34歳(77万人)を下回っているが、3年間で10万人も増加しテンポが加速。背景にベテラン管理職らのニーズの高まり。
●人材紹介大手3社の紹介実績によると、41歳以上の転職者数は16年4~9月期に3108人。前年同期比で27.4%増、世代別では25歳以下に次いで高い伸び率。
●転職サイト「エン転職」では、小売りや流通での求人掲載数が17年1月期までの1年間で前年と比べて42%増加。コンビニエンスストアなどの店舗拡大に伴い、おもに店長として働く管理職人材のニーズが強い。
●インテリジェンスがまとめた1月の中途採用求人数は前年同月より23.4%多い約16万件で、26カ月連続で過去最高を更新。電気・機械の技術者が35%増、企画・管理も27.9%増。
●日本電産は技術力の強化に向け、2年間で課長級以上約1000人を中途採用する方針。アシックスは海外事業の急拡大に合わせ、13年から管理職の中途採用を本格化。

今の40歳前後は1990年代末から2000年代初めの「就職氷河期組」が多いため、企業内で経験を積んでマネジメント能力を高めた人材が上の年齢層よりも手薄とされ、管理職を外部に求めるケースが増えているのではないかという読み方まで書かれている。日本企業が成長の活路をアジアなどに求める中で、海外経験の豊富な中年層に人材を見いだしている面もあるという。

確かにこれだけのグッドニュースが数字付きの事実として並ぶと、ミドルの転職市場は非常に活況で、「転職35歳の壁」はベルリンの壁のように崩壊し、中高年人材も超売り手市場になっているかのように感じても無理はないかもしれません。しかし、実際のマーケットはそんなに単純でもありません。もう少し、詳しく見ていきましょう。

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