NGな結婚相手は? 独身の老後は? お金の不安解決
もしかして一生シングルかも─―。そう思ったとき、頭によぎるのは「家計の不安」。「老後、1人分の年金だけでは生活は厳しい。多くの場合、新入社員より低い年収になります」とは、ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さん。しかし心配しすぎることはないという。「高齢単身無職世帯の1カ月の可処分所得は約10万円、支出は約14万円で月4万円の赤字(※)。今の高齢者も、年金収入で足りない分は貯蓄を切り崩して生活をしています。コツコツためて、長く働き続ける意識を持っておけば大丈夫」
また、不安ゆえに30代から「一生シングルプラン」にまい進するのも注意。「老後に家賃が発生しないようにマンション購入を急ぐ人もいますが、長いローンを組むと、かえって老後を圧迫することに。まずは頭金をしっかりためて、購入は40代になってからでも十分です」
結婚したい相手が既にいるなら、お金がたまる体質かどうかを見極めて。"ため男子"の可能性が高いのは次の2タイプ。まず、積立貯蓄をしている人。そして、目標や計画を立てるのが好きな人。「プランを立てられる人は衝動買いしません」。記事後半では、結婚相手には避けるべき"お金だめんず"も紹介。参考にしてほしい。
【シングル老後のお金不安は「働き続けること」で解消】
老後、1人分の年金だけでは生活がキツイ
現役時代の平均年収が300万円の会社員なら、65歳からの年金は年180万円程度、月15万円程度。少子高齢化で将来的に減る可能性も。フリーや自営業の場合は公的年金のみで、満額でも年間78万1000円、月約6万5000円。一方、高齢単身家庭の赤字額は月額4万円ほど(※)。「この赤字分をカバーできるよう、できるだけ長く働き続けることが、解決への近道です」
※平成27年総務省家計調査より
→[結論]働き続けることでお金の不安を解消
支え合う仲間づくりがお金不安を解消する手がかりに
お金をためるだけでは、老後の不安は解決しない。大切なのは「支え合える仲間」を作っておくこと。「老後、仲の良いシングル仲間で一緒に住めば、寂しくないし、家計も助かります。ただ、ずっと独身で独り暮らしだと、共同生活で人に合わせるのが意外と大変。ルームシェアで"お互い様と思える経験"をしておくのもよいですよ」
→[結論]友達・仲間はお金以上に力になる
【結婚を後悔しないために……"お金だめんず"どう見極める?】
お金の価値観の相性は絶対条件ではない
過ごしてきた環境が違う以上、お金の価値観も違って当然。「お金の使い道や、お金をかける優先順位などは、結婚後に歩み寄れるものです。自分の常識を押しつけずに"こういう価値観もあるのね"と肯定した上で、話し合いましょう」
稼げる男より、ため体質の男を選ぶべし
「25~34歳の未婚男性のうち、多くの婚活女子が望む年収600万円以上の人は、わずか3.5%しかいません。激戦地に繰り出して戦うより、収入は少なくても"ため体質"の男性を探すほうが、選択肢が広がります。2人で稼げば家計も盤石に」
働き女子が幸せになる将来のパートナーの条件
1.結婚相手におすすめは断然「3低」男子
「"3低"とは、家族にいばらない"低姿勢"、家事や育児を妻に任せきりにしない"低依存"、資格やスキルがあり、リストラに遭うリスクが少ない"低リスク"。結婚相手に最適ですよ」
2.自分にケチな男が"黄金のため期"をつくる
「共働きDINKS時代は"黄金のため期"。ここでムダ遣いをしない人は、"自分にケチ"な男。家族の衣食のためにはお金を使うが、見栄消費をしない。最高のパートナーです」
3.お金の話が普段からオープン
共働きだと、互いに収入や貯金額を明かさない場合も多く、「フタを開けてみたらお互い貯金ゼロ」などということも。普段からお金の話がしやすい相手であれば、貯蓄計画も立てやすい。
4.結婚相手は働く女性がいいと思っている
いうまでもなく、結婚はゴールではない。離婚や夫の失業のリスクもある。家事や育児に協力する、働く女性にふさわしい相手を選ぼう。
将来のパートナーとして"絶対NG"はこんな人
1."他人にケチな男"
「旅行に行ったとき、両方の母親への土産選びを一緒にしてみて。自分の母親の土産ばかりに時間とお金を費やす人は、他人にケチでエゴが強く、思いやりに欠ける傾向があるので注意」
2.見栄っ張りなだけの男
特に避けたいのは、"他人には見栄っ張りだけれど、身内にはケチ"、いわゆる"釣った魚には餌をやらない"タイプ。結婚すると、苦労の連続かも。
3.借金を抱える負債男
「奨学金は親の問題だから仕方ないけれど、カードローンは絶対にNG」。過去の返済状況次第では、住宅ローンを組むときに問題になる可能性も。
お金の話、相手にどう切り出す?
家計管理は結婚後でOK。負債チェックを事前に行って。
結婚に備えて貯金をする発想がある男性は、実は少数派。貯蓄額はさほど気にしなくてOK。問題は「負債額」。結婚が具体化したタイミングで確認して。
[こう言ってみよう]
→「A子のところ、旦那さんに借金があったみたい。そういうのって、結婚前に知らせてくれればいいのにね」
→「カードローンがあると、住宅ローンの審査に通りにくいって本当かな? 私はないけれど、あなたはどう?」
ファイナンシャルプランナー。生活設計塾クルー取締役。外資系メーカーを経て1996年にFPに転身。家計相談を精力的に行うほか、メディア出演や講演でも活躍。『定年までにやるべき「お金」のこと』(ダイヤモンド社)など著書多数。
(ライター 西尾英子)
[日経ウーマン 2017年3月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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