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「腸内フローラが整えば健康になる」とは限らない?

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

近年、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう、腸内フローラ)と健康の関係に注目が集まっています。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のSusan V. Lynch氏らは、近年の腸内フローラに関する研究結果をまとめて、その概要を米国の「The New England Journal of Medicine」(NEJM)誌2016年12月15日号[注1]に紹介しました。これによると、腸内細菌が健康に及ぼす影響の少なくとも一部には本人の遺伝子がかかわるため、腸内フローラを整えれば誰もが健康になれる、病気を予防できる、というわけではなさそうです。

[注1]Lynch SV, et al. N Engl J Med 2016; 375:2369-2379. DOI: 10.1056/NEJMra1600266

【腸内細菌叢(腸内フローラ)とは】 人の消化管に存在する何兆個もの細菌は、それら同士で、また人の細胞と相互に作用しながら、安定した生態系を形成しています。これを腸内細菌叢(腸内フローラ)と呼びます。腸内フローラを構成する細菌の組成や機能の乱れは、様々な病気の発症に関係することが示唆されています。

では、Lynch氏らがまとめた腸内フローラの最新知見の内容を見ていきましょう。

腸内フローラと人の関係

人と腸内細菌は共に進化を遂げて、相互依存の関係を築き上げました。その結果、腸内フローラは、人の免疫系の成熟に重要な役割を果たし、病原体の増殖を抑制し、人の細胞の増殖や新たな血管の形成に影響し、腸の内分泌機能や神経系での信号伝達、骨密度の調節などに役割を果たすようになりました。

年齢と腸内フローラ

人は誕生の際に母親の持つ細菌叢を受け継ぎます。母乳栄養終了後、腸内フローラを構成する細菌の多様性は急速に拡大、7歳から12歳にかけて成人の組成に近づき、成人後は安定します。組成は人ごとに大きく異なりますが、その機能に大差はありません。高齢になると、抱えている疾患や加齢による免疫機能の低下などにより、腸内フローラの組成が不安定になり、多様性も縮小します。

腸内フローラに影響を与える要因

分娩法や、本人の性別、年齢、遺伝子、免疫の状態、食事の内容(サプリメントを含む)、便の硬さ、抗生物質などの薬や毒物の摂取、感染症の経験、環境に存在する細菌との接触などが、腸内フローラの組成と機能に影響を及ぼします。

近年注目されているのは、本人が持つ遺伝情報が、特定の細菌の定着に影響を及ぼすことです。

例えば、太りやすさに関係すると考えられており、日本では「ヤセ菌」とも呼ばれるクリステンセネラセエが腸に定着するかどうかには、本人の遺伝情報が大きく影響します。が、一般には、組成に及ぼす影響は、抗生物質の服用のような外的要因の方が大きいと考えられています。

食事その他の影響

食習慣は腸内に存在する細菌の選択に強力に影響します。例えば肉の摂取は、炎症性腸疾患に関係する細菌を増やすと報告されています。ただし、同じ食品を食べても、反応は人ごとに異なるようです。

また、病原体の感染も、腸内細菌の組成に影響を与えます。

腸内フローラの組成の異常と病気

アテローム性動脈硬化、代謝性疾患、喘息などの疾患の発症と並行して、腸内フローラの組成に異常が見られます。しかし、これらの間に因果関係があるのかどうかは、現時点では不明です。

腸内フローラが担う機能はきわめて多様であることから、人の健康との関係を調べる研究の対象は幅広く、がん、炎症性疾患、代謝性疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、神経疾患、精神疾患などが含まれています。

海外では、腸内フローラの乱れと慢性疾患との関係を説明するために「common ground仮説」が提示されています。これは、さまざまな要因により腸内フローラの組成が乱れると腸に異常が生じるが、それはどんな人にも起こるわけではなく、その人が遺伝的に、特定の慢性疾患になりやすい場合にのみ、腸内で病原性の細菌が増殖して発症する、という考えです。

予防と治療への利用

クロストリジウム・ディフィシルという細菌の感染による重症下痢を繰り返す患者には、健康な人の便の移植が有効だと報告されています。より安全な治療法として、便ではなく複数種類の細菌の混合物を治療に用いる試みが進んでいます。

特定の疾患の患者に、従来型のプロバイオティクス(腸内フローラのバランスを改善し利益をもたらす生きた細菌)を投与する臨床試験は複数行われましたが、大きな効果は見られていません。

腸内フローラに良い食事

摂取熱量(カロリー)を適度に制限し、食物繊維と野菜を多めにとる食事は、腸内フローラの組成と機能を良好に維持するために役立つことが示されています。

いずれは、そうした食事療法と、遺伝的に定着が期待できるオーダーメイドの細菌混合物の投与が、市民の健康増進に用いられるようになるかもしれません。

大西淳子(おおにし・じゅんこ)
 医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday 2017年2月27日付記事を再構成]

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