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2011年3月11日に東日本大震災が発生してから6年が過ぎた。アイリスオーヤマの大山健太郎社長は、マニュアルの通用しない有事のときこそリーダーシップが問われる、という。被災地の復興は人材育成しかない、とみずから東北の起業家を育成する「人材育成道場」を立ち上げ、社内外のリーダーの育成に力を入れる。経営者人生50年を超える大山社長に、独自の人材育成論やリーダーシップについて語ってもらった。

災害はマニュアル通りに起きない

――東日本大震災から丸6年がたちました。震災後、東北の復興でリーダーシップを取ってきた大山社長が見た、リーダーが有事にやらなければならないこととは何でしょうか。

「東日本大震災のような大惨事では、まずマニュアルが通用しません。社長がいなくても、その場にいる人間が判断しなければなりません。電気は通らない、携帯電話もパソコンも使えない。そのなかで津波に流されたり、地震で家や工場が壊れたりする。マニュアル通りに起きるものは、災害とはいいません。マニュアルを超えることがあって初めてどたばたするわけです。その場で判断のできる人間が、全責任を取ってスピーディーに判断する、これこそリーダーシップです。そして、その判断できる人がトップになるべきなのです」

「震災後、BCPという言葉が広がりました。本来、BCPというのは、翻訳するとビジネスを継続するための計画を指します。しかし、日本ではなぜか、単なる災害対策という意味に置き換わってしまった。火災訓練や、防災訓練の延長です。3月11日、私も専務も仙台におらず、唯一常務がいただけでした。月曜日まで誰もいなかったのです。それでもその間、ちゃんと会社が動いていました。そこにいる社員たちがお互い助け合い、自分自身で判断して動いたからです。その臨機応変さが、本当のBCPだと思います」

灯油を無料配布、後に社長に

――「私の履歴書」(日本経済新聞)のなかで、宮城でホームセンターを運営するアイリスオーヤマのグループ企業、ダイシンの気仙沼店の店長が暖房用の灯油1人10リットルまで、無料で配ったエピソードがありました。

「あの行動こそ、BCPですよ。雪が降り寒さでこごえている住民がいる。目の前に灯油がたくさんある。お金も手元にない人ばかり。本部は電話もつながらず確認できない。気仙沼店の店長は、クビになってもかまわないと顧客に灯油を配りました。困ったときは、助けるんだと決めて。美談ですよね」

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