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post 2020~次世代の挑戦者たち

アスリートは2度輝く 引退を見据えて「市場」耕せ アスリートネットワークの朝原宣治副理事長に聞く(1)

公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司

2017/3/15

アスリートネットワーク副理事長の朝原宣治氏

 2020年東京五輪・パラリンピックで活躍が期待される現役トップアスリートにも、いずれ引退の日は訪れる。東京大会後の「post2020」時代に、第一線を退いた選手のセカンドキャリア形成には何が必要になるのか。北京五輪男子400メートルリレー銅メダリストで、アスリートネットワーク副理事長としてアスリートのセカンドキャリア開発を支援している朝原宣治氏にトップアスリートが引退後に再び輝くための条件などを聞いた。(聞き手は公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司)

 ――アスリートネットワークは現役を退いたスポーツ選手のために、どんな活動をしているのですか。

 「アスリートネットワークは10年に設立された一般社団法人です。当初は地方自治体などから依頼を受け、スポーツイベントにアスリートが参加するといった活動がメインでしたが、今はこちらからスポーツを起点にしたイベントやコンテンツを発信することを重視して活動しています。例えば、3月25日には、08年北京、12年ロンドン両五輪に新体操で出場した田中琴乃さんが大阪ガスの『アスリート食・DO』というイベントで、美容と健康をテーマにしたセミナーと料理教室を開きます。このようにアスリートネットワークの活動は食、美容、健康といったコンテンツを大切にしています」

 ――アスリートが現役時代に培った専門的な知識やスキルをスポーツ以外の分野で活用する切り口は興味深いですね。活躍の場を広げられる可能性もあります。

 「アスリートのセカンドキャリアを考える上では、アスリートが活躍できる『市場』が存在するか、その市場の規模が大きいか、小さいかをしっかり見極めることが重要になります。市場の状況は種目によって異なります。市場が小さい種目の場合、あまりセカンドキャリアの選択肢はないため、その種目とは関係のないセカンドキャリアを歩まざるを得ないことも多々あります。一方、野球やサッカーは市場が大きいので、球団に所属してコーチや監督をしたり、解説者になったり、スポーツクラブで教えたりする様々なセカンドキャリアが考えられます。ただ、野球やサッカーであっても、現役を退いた後に、その道で食べていくことは決して簡単なことではありません」

 ――陸上競技はどうでしょうか。

子供とふれあい、スポーツの魅力を伝える(写真提供=アスリートネットワーク)

 「陸上競技は市場が大きくはないので、プロで食べていくという発想はあまりないですね。大学を卒業したら企業に就職したり、教員を目指したりする人が多いです。ただ、日本代表になれると思ったら大学院に行ったり、企業に入ったりして選手として競技を続けることができます」

 ――同じ陸上でも種目によって状況は異なるのでしょうか。

 「短距離種目か長距離種目かによってキャリアは大きく変わります。日本の場合、駅伝の市場は大きく、駅伝チームを抱えている企業もたくさんあるので、長距離選手の就職枠は一定数存在します。企業は選手が中学生の時代から目を付け、有望な選手の取り合いをしているくらいです。箱根駅伝に出場できるぐらいの実力がある選手ならば、ある程度、企業に就職できます。一方、短距離種目は世界で通用するレベルじゃないと、なかなか企業から相手をしてもらえないですね」

 ――ご自身は大阪ガスに所属して世界を舞台に活躍し、引退後、アスリートネットワークなどに活動の幅を広げていますね。

 「今は大阪ガスの近畿圏部という部署に所属し、兵庫県西宮市を拠点にして陸上クラブ『NOBY T&F CLUB』を主宰しています。このクラブには小学生から一般の成人の方まで集まっています。ここで走り方やトレーニング法を指導しています。トレーニング計画の立案や健康な生活を送るためのアドバイスもします」

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