2017/3/20

食べ物 新日本奇行 classic

さて本題である。「鉄砲漬け」について「赤い殺意」との関連を述べたところ「それは違うぞ」という克明なメールをいただいた。

鉄砲漬け
ご意見 鉄砲漬けの鉄砲は決して「トウガラシ」のぴりっとしたところではありません。「青トウガラシ」を使用し、鉄砲の筒と弾丸に見立てているところからです。
「鉄火和え」は鮪のサイの目切りを赤トウガラシ味噌で和えたもので、この鉄火はトウガラシの辛さからではなく、マグロの赤身を使用しているところから付いています。
「鉄火巻き」、これもトウガラシは使用していませんが、マグロの赤身の色からの説と「鉄火場」で簡単に食事ができることから付いています。
「鉄火味噌」は醤油・出し汁等量を煮立てて、これに炒り大豆を手早く入れ、そのまま冷まします。ゴボウを油炒めして、味噌・砂糖・酒・唐辛子・ショウガのみじん切り、先の大豆をいれ炊き合わせたもので、色が赤く辛味があるところから。
「鉄火丼」はマグロの赤身を使用するところから。
「鉄刺(てっさ)」はフグの異名の鉄砲から「鉄砲の刺身」の省略形。「鉄砲」はフグのことで、当たれば死ぬがなかなか当たらないところから。
「鉄砲串」は真っ直ぐに打つ串のこと、銃身は真っ直ぐなことから。
「鉄砲焼き」はトウガラシ味噌を塗って魚・鳥・肉を焼いたもの。
 以上、「鉄砲」の文字を使用した料理または素材は多いのですが、フグの「当たれば死ぬがなかなか当たらない」を除いては、その材料またはでき上がりが「赤い」ということです。火で焼いた鉄のように赤いというので鉄の字がついてい ます。
「鉄砲」=「辛い」の図式は当てはまりません。「鉄砲巻き」はトウガラシは使用していませんが、「鉄砲」の文字が使用されています(島野さん)

島野さんからは鉄砲漬けについてさらに詳しく述べたメールも届いている。

鉄砲の弾丸
ご意見 正しい「鉄砲漬け」は白瓜の種の部分を抜き、ここにシソで巻いた 「青トウガラシ」を入れて醤油または味噌漬けにしたものです。発祥地は「千葉県成田」です。
 周りの白瓜を鉄砲の筒に見立てて、中に入っているシソ巻き青トウガラシを弾丸に見立てるところから「鉄砲漬け」と言います。最近は、歯応えのある瓜の食感が嫌われて、キュウリで代用した「鉄砲漬け」が盛んに売れています。なお、食べる時は、5ミリ位に薄く切ります。
 鉄砲漬けのお茶漬けは最高です、ちょっとピリ辛で醤油の味が染み込んだべっこう色の憎い奴ですね。
 この「鉄砲漬け」の親戚には岩手の「金婚漬け」、三重の「養肝漬け(ようかんづけ)」などがあります。「金婚漬け」は「鉄砲漬け」と同じく白瓜を使用、中に大根・ゴボウ・ニンジン・シソの葉を昆布で巻いて詰め、醤油や味噌で漬けたものです。
 一方「養肝漬け」 は白瓜の芯を抜き、中にシソの実・葉、ショウガ、大根、キュウリ等の野菜を刻んだ物を入れ、たまり醤油で漬けたものです。名前の「養肝漬け」の由来は、初代藩主藤堂高虎が陣中食あるいは携帯食として貯蔵し、武士の肝を養う漬物としていたことからと言われています。
金婚漬
養肝漬け

私は鉄砲漬けの語源を知らない。先週紹介した「たべもの語源辞典」ぐらいが頼りである。それが違っているということになるとお手上げ。わかりましぇーん。

デスクええっ じゃ、「赤い恋人」の名誉回復はどうなるの?

野瀬 名誉? 何の?

(特任編集委員 野瀬泰申)

[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]

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