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「世の中を変えるのは映画だけじゃない」芸大で気づく 俳優・伊勢谷友介氏が語る(下)

2017/3/20

 俳優、映画監督業のかたわら、社会起業家として活躍する伊勢谷友介氏(40)が語る、東京芸術大学時代の思い出。芸大時代に映画の面白さに目覚めた伊勢谷氏は、映画監督への道を始める。だが、それが自分の最終目的でないことに気付き、今度は、社会起業家を目指し始めた。

◇  ◇  ◇

■大学院に進み、本格的に映画を撮り始めた。

 大学院に進んだのは、一人親だった母親の意向もあります。母は昭和初期の人間なので、学業が身を助けるという信念があり、子供たちには大学院まで出てほしいという希望を持っていました。

 幸い、私はモデルの仕事でためたお金があり、母に甘えずに授業料も払うことができたので、大学院に進むことにしました。

 大学院では本格的に映画づくりに取り組みました。一般の大学では修士号論文にあたる作品も、映画。在学中に実際に制作したのは短編ばかりでしたが、大学院を卒業するころには、上映時間2時間の劇場公開作品のプロジェクトにも取りかかっていました。

「美校」と呼ばれる芸大美術学部の正門。「音校」と呼ばれる音楽学部と道を挟んで向かい合っている=東京都台東区

 そのころは、私の将来ビジョンも明確で、何をやりたいのかと聞かれたら、映画監督をやりたいと、いつも言っていました。

 ところが、ある時、自分の目的は映画監督になることではないと気付いたのです。

 2作目の脚本を、代々木公園のベンチで書いていた時です。昼間でしたが、ベンチに寝そべっていたら、頭上に月が出ていました。ぼんやりと月を眺めながら、「そもそも俺は、そして人間は、何のために生きているんだろう」とふと思ったのです。誰もが一度は自問自答する問題だと思いますが、そう考えた瞬間、自分の中で何かが変わりました。

 それまでは、映画監督になることが自分の目的だと思っていましたが、実はそうではなく、映画監督は、自分の作品を見た人の人生が少しでも変わる、その結果、世の中が少しずつ変わっていく、あくまでそのための手段にすぎないと思ったのです。

■8年前、32歳の時に、リバースプロジェクトを立ち上げた。

 人間が生きる意味は何だろう。そう自分に問いかけて出した答えは、種として生き残ること。そして、そのためには、人間が生存し続けていける地球を残さなくてはいけない、未来を創造していかなければならない。その目的のために自分の命を使いきろう。そう思いました。

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