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"不思議の国"ミャンマーの遺跡、世界遺産になれるか

ミャンマーのバガン

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ミャンマー中部の仏教遺跡都市バガン。11~13世紀に建てられた約3000もの仏塔や寺院が平原に見渡す限り林立し、アンコールワット(カンボジア)、ボロブドゥール(インドネシア)と並ぶ世界三大仏教遺跡に挙げられるのだが、なぜかバガンだけが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されていない。軍事政権による修復や周辺開発が理由とされるが、本当にそれが問題なのか?ミャンマー屈指の観光地を訪ね、謎に迫ってみた。

気球からも見える圧巻の寺院・仏塔群

筆者は最近、結果的にほぼ毎年、ミャンマーを訪れているが、いつも共通して現地で聞かれる話題がある。「バガンへ行ったか」。まだ行ってない、と言うと、反応は必ず「絶対行ったほうがいい!」。ミャンマー人も日本人も例外なくそうだ。

そうまで言うのだからすごいのだろう。1泊2日の日程を確保して、ミャンマー最大の都市ヤンゴンから国内線で1時間強のフライト。実際に見たバガンは、話や写真以上に大小様々な寺院や仏塔が立ち並んでいる印象で、その光景は圧巻だった。

比較的雨量が少なく密林とまでいかないので、見晴らしが割と良い。高い所まで登ることができる仏塔、「シュエサンドー・パヤー」「ブレディ・パヤー」から、はるかかなたまで点々とする寺院・仏塔を眺めると、まるで夜空で満点の星を見ているような気がしてくる。

地上を車か馬車、バイク、あるいは自転車でまわる。「アーナンダ寺院」「タビィニュ寺院」「ダマヤンヂー寺院」などの大きな有名寺院は、外観も内部の仏像なども圧倒的な迫力。多くの壁画が残る「スラマニ寺院」、寝仏の「マヌーハ寺院」など規模はさほどでないが内部に特徴のある寺院もたくさんある。

「シュエズィーゴォン・パヤー」「ローカナンダー・パヤー」など、エーヤワディー川沿いに立つ金色の大きな仏塔も見所。仏教徒ではあるが特に仏像ファンでもない私は丸2日間仏教遺跡を回ったら飽きると思っていたが、バリエーションが豊富で、まだまだ見切れなかった印象だ。

気球で上から遺跡群を見るツアーも有名だが、一時間のフライトで料金は300ドル以上で、しかもかなり先まで予約が一杯。乗らなくても十分すぎるほど感動できる。

世界遺産登録、日本も協力

世界遺産には「1990年代に当時の軍事政権が申請したが、展望台やゴルフ場、新しい道路が造られたことを理由にユネスコが却下した」とされる。確かに空港の近くには13階建ての「ビュータワー」があるし、登ると眼下にゴルフ場も道路も見える。だが正直なところ、素人目にはそれほど破壊されているという感じでもない。

実はミャンマー政府はリベンジを狙っている。2019年の登録を目指して、来年1月にはユネスコの世界遺産委員会に審査の土台となる「バガン管理計画」を提出する予定だ。日本もミャンマー政府から要請をうけて現在、国際協力機構(JICA)が現地調査やパイロットプロジェクトを実行中。今年11月までには管理計画の一部となる観光戦略計画を策定する予定だ。

バガンでJICAの専門家として、インフォメーションセンターの設置や道路整備、景観に配慮した標識作りなどのパイロットプロジェクトを担当している三好隆之さんによると、「ユネスコがゴルフ場などを理由に当時却下したのは事実だが、今は特に問題視されていない」。それよりも環境や景観保全で新しい課題が続々出てきているようだ。

遺跡の破損の懸念も、課題次々

 例えば眺望スポット。現在は仏塔に登り夕日を眺めるのが定番だが、「多い日だと千人くらい登る仏塔もあり、危険だし、遺跡の破損にもつながる」(三好さん)ため、将来は登ることを禁止する方針。一方でミャンマー政府は独自に、眺望のための人工丘を造る計画を進めており、「ユネスコ側の環境・景観保全の考え方とあわない可能性がある」

バガンへの観光客は2015年でミャンマー人30万人、外国人25万人。外国人の内訳は約1万2千人の米国が最多で、日本が約8500人で2位、以下フランス、ドイツ、タイ、韓国、英国などが次ぐ。新政権の誕生や経済成長の進展に伴い、特に外国人は2020年には45万人に増えると予測される。

当然、ホテルや店舗なども新たに建てられ、町の人口も2014年統計の24万人から急増しているとみられる。遺跡の周囲に店ができ、企業の広告看板が立ち並び、町中のごみも増えるなど、保全とは相反する流れがすでに進んでいる。

「バガンのように、住民が今でも生活の中で遺産である寺院や仏塔を利用している『リビング・ヘリテージ』の場合、遺跡としての価値と観光促進、住民の生活の利便さという3つの要素のバランスが大事になる。まず世界遺産とは何かという地元住民の理解を高めていかないとうまくかみあわない」と三好さんは懸念する。

聖地のイメージとずれる点も

話を聞いて納得した。バガンもそうだが、ミャンマーの名所はどれも、奇想天外な光景と、生活が共存している。観光客からみると、それが何ともいえない不思議な印象、魅力につながる。

今回足を延ばした、バガンから車で1時間ほどの死火山、ポッパ山もそうだ。麓の岩峰の頂に寺院がそびえる様子は、「天空の城ラピュタ」か、中東イエメンの山岳地帯にある絶壁の上の住居か、という絶景。一方で、777段あるという頂上へ向かう階段は地元の人達や土産物店、あちこちにいる猿たちでにぎわい、我々が考える「聖地」のイメージとはちょっとずれる。

場所は違うが、ヤンゴンから北東の巡礼地「ゴールデンロック(チャイティーヨー・パヤー)」も同様。崖から落ちかかっている金色の大きな岩のある頂上に行くには、麓の村で車を降り、政府が運営するトラックの荷台に乗って約一時間登らなければならない。

世界一スリリングな観光地

これが最大の名物といえるほどすごい。荷台にぎっしり人が乗り込むとトラックが出発し、でこぼこの起伏に富んだ山道をほぼ減速することなしに激走する。いわばずっとジェットコースター状態。悲鳴と歓声が荷台中から上がり続ける、私の経験したなかでは「世界一スリリングな観光地」だ。

ヤンゴンにある巨大仏塔「シュエダゴォン・パヤー」も、至る所にある仏像たちの背後で極彩色の電飾が光っていること自体がかなり不思議だ。遺跡や聖地が生活と密着しているからこそのワンダーランド。この魅力を維持しつつ、世界遺産が増え、外国人観光客をさらにひき付けていくことはできるだろうか。 

ミャンマーはヤンゴンを中心に空港は新しくなり、街を走る車はきれいになり、豪華なショッピングセンターができるなど、毎年目に見えて変化している。しかしだからといってそのまま、「普通の国」になるとは思えない。たぶん今後も不思議な国であり続けるのではないか。

(金沢浩明)

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