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風呂じゃ酒は抜けない それより危険なヒートショック

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

寒い時期に多発する入浴中の事故死。急激な温度変化によりカラダがダメージを受ける「ヒートショック」が原因だ。この恐ろしいヒートショックをお酒が助長することをご存じだろうか。実は、11月末の寒い夜、私、酒ジャーナリストの葉石かおりは、ヒートショックを自ら体験し「命の危機」を感じた。そこで今回は、寒い時期の飲酒後の入浴についてまとめた。寒さが和らいできたとはいえ、まだ油断はできない。

あの時、「私の人生はこれで終わりだ」と思った

酒を飲んだ後に風呂に入る――。

「酔っている時ほど風呂に入りたくなる」というのは私だけではないようだ。酔って水を得た左党は気が大きくなっているので、「風呂で汗かいて酒抜くぞ!」とやらかしてしまいがちだ(実際には汗をかいても酒は抜けない)。

実は、11月末の寒い日、「命の危険」を感じる体験をした。そう、酔った状態で風呂に入ったのだ。だが酔っているといっても、前後不覚になるほどではない。記憶も意識もきちんとある状態で、冷えた体を温めようと帰宅早々、44度の湯をはった湯船に漬かった。

異変を感じたのは湯船に漬かって5分ほどしてから。頭がカーッと熱くなった後、全身が心臓になったかのような激しい動悸(どうき)が起こった。そして慌てて湯船から出ようとして急に立ち上がった途端、今度はめまいに襲われた。水を飲み、しばらく脱衣所でうずくまっていたら、症状はおさまったが、あの時は本当に「私の人生はこれで終わりだ」と思った。俗に言う「ヒートショック」というやつだ。

飲酒時の入浴は世間一般的にはNGだといわれている。それは知っていたが、これまではひどい目にあったことがないためついつい繰り返していた。しかし、11月の一件で、やってはいけないのだと心底痛感させられた。あまりに怖くて、その事件以降しばらくはお酒が飲めなくなったくらいだ。

だが、入浴後の飲酒はどんな根拠でいけないといわれるのだろうか? そして私自身が体験した激しい動悸やめまいは何が原因だったのだろうか? 「高血圧にならない、負けない生き方」の著者でヒートショックに詳しい横浜労災病院院長の梅村敏さんに詳しい話を伺った。

ヒートショックの主犯は「急激な血圧の変化」

「急激な温度変化によってカラダがダメージを受けるのがヒートショックです。ヒートショックには『血圧の変動』が深く関わっています。特に寒い時期の入浴、そして飲酒後の入浴は血圧の変動が激しくなり非常に危険です」(梅村さん)

ヒートショックの原因は「血圧の変動」だったのか! 確かに急激な血圧の変化はカラダに悪そうだ……。だが、寒い時期の入浴や飲酒後の入浴は、血圧にどう影響するのだろうか。

梅村さんによると、そもそも血圧は気温によって変動するのだという。気温が高いと血圧は下がり、寒くなると上がるのだ。

「私たちのカラダは気温が低いと、『体温を下げないように』と血管を収縮させ、結果として血圧が上がります。一方で気温が上がると、熱を放出して体温を下げようとして血管は拡張するので血圧は下がります。このため、夏は血圧が低くなり、冬場は血圧が上がるのです」(梅村さん)

入浴時は気温差により血圧はアップダウン

では、入浴時はどのように血圧が変化するだろうか。梅村さんに、冬場に寒い浴室でお風呂に入る際の、血圧の変化を解説していただいた。

図1に示したように寒い時期に入浴すると、気温差による血圧のアップダウンは激しくなる。これがヒートショックにつながるわけだ。実際に、入浴中の血圧の変化を計測したのが図2のグラフである。入浴のプロセスでの血圧の変動が、室温が低いほどより大きくなることが明確に見て取れる。

「急激な血圧の変化はカラダへの負担が大きくなります。寒い時期の入浴は、血圧の変動が大きいのでより負担が増します。特に高齢者で普段から高血圧の人は、動脈硬化が進んでいます。つまり血管が傷んでもろくなっているわけです。急激な血圧変動に対応できず、心筋梗塞や脳梗塞、あるいは脳出血などで重篤な症状に陥る危険性が高まります。また、高齢者は、体位の変化(臥位〔がい〕、座位、立位など)に対応し血圧を一定に維持する能力が衰えてくるため、湯船などから立ち上がったとき頭に血が十分に回らず倒れる確率も高まります」(梅村さん)

入浴時の事故死が多いのはやはり寒い季節

消費者庁が発表しているデータを見ても、寒さの厳しい12月から3月までが入浴時の事故死が多いことがわかる(図3)。そうした人のほとんどが65歳以上の高齢者だ(図4)。入浴時の事故死はこの10年で1.7倍に増えている。

ううむ、やはり寒い時期の入浴を甘く見てはいけないようだ。とかく日本人はシャワーで済ませず、肩までしっかり湯船に漬かる人が多いこともあってか、世界的に見てもダントツで入浴時に溺死する人が多い。

寒い時期の入浴中の事故に関する実態を調べるために消費者庁が2015年に実施した調査によると、全体の約1割が入浴中にのぼせたり、意識を失ったりして、ヒヤリとした経験があると回答している。そのヒヤリとした具体的な状況は、「浴槽に長く(10分以上)漬かっていた」という回答が多く、浴槽から立ち上がったときにヒヤリとした人が多かった。

「長く浴槽に漬かっていると血圧が下がります。その状態で突然立ち上がろうとすると、通常は血管が収縮して血圧を保とうとするのですが、高齢になると血圧が維持できなくなり、頭に血が十分に回らず、気を失って倒れるということが起こります。倒れた場所がお湯を張った浴槽だと、溺死につながってしまうのです」(梅村さん)

アルコールは一時的に血圧を下げる

ここまでの説明で、室温と浴室の寒暖差が大きい時期の入浴が、いかにカラダの負担になるかがよくわかった。しかし、これはアルコールを飲まない状態でのこと。同じ環境下でアルコールを飲んで入浴するのは、どれほどの危険性を伴うのだろうか? それについては次回解説する。

梅村 敏(うめむら さとし)さん
 横浜労災病院院長、横浜市立大学名誉教授。1975年横浜市立大学医学部卒業後、米国クレイトン大学医学部高血圧研究所・助教授を経て、1998年横浜市立大学内科学第二講座・教授、2008年同大医学部長、2010年病院長、2012年より横浜市立大学学術院・医学群長を歴任。2016年4月より現職。著書に「高血圧にならない、負けない生き方(日本屈指の名医が教える『健康に生きる』シリーズ)」(2015年、サンマーク出版)ほか多数。

(エッセイスト・酒ジャーナリスト 葉石かおり)

[日経Gooday 2017年3月3日付記事を再構成]

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