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約40億年前の生命か 地球最古の化石発見に異論も

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/3/20

微化石と考えられる構造物が発見されたカナダのヌブアギツク帯の岩石。(PHOTOGRAPH BY DOMINIC PAPINEAU)

 けれどもケリー氏らは、これだけ複雑な岩石に含まれるさまざまな要素の相対的な年代を測定するのは難しく、微化石にそんなに古い年代を割り当てるのは正確ではないと批判する。彼は、これらの微化石がもし本物であるとしたら、それを含む結晶や岩石が形成されたのは27億年前より新しい時代の可能性があるという。

 その頃、ヌブアギツク帯の全体が地殻変動によって大きく変性した。高温と高圧が岩石を引き伸し、折り曲げ、歪ませたため、化石があっても破壊されてしまったかもしれない。

 一方ドッド氏は、グリーンランドの微生物やニュージーランドの植物や胞子の化石の例を挙げ、そのような過酷な環境にも化石が耐えられることは分かっていると反論する。「化石は変成岩の中では保存されないと考えるのは時代遅れです」

■あらゆるところに生命がいる宇宙

 研究チームの推測が正しいなら、微化石の複雑さから考えて、これらの生物はずっと前から進化を重ねており、地球誕生から数億年しか経っていない頃の過酷な環境を生き抜いてきたことになる。

 数億年という時間は、地質学的には一瞬だ。生命の起源に思いをはせ、生命が宇宙のどこにでも存在すると考える科学者にとって、これは嬉しい知らせだ。海を持つ氷の衛星は、とりわけ地球外生命を探す絶好の場所に違いない。

 NASAのクリス・マッケイ氏は、「これは非常に興味深い研究で、土星の衛星エンケラドスと木星の衛星エウロパの探査ミッションへの期待度にも関係してきます」と言う。彼は、研究チームの証拠には説得力があると個人的には思うものの、最終的な評価は差し控えたいと付け加えた。「熱水噴出孔はエウロパにもあると考えられています。エンケラドスについては、熱水噴出孔の存在を示す、かなり直接的な兆候があります」

 さらに興味深いのは、これらの生物と同じ時期に、まったく異なるタイプの光合成生物が存在していたことである。37億年前の微生物塊を形成したストロマトライトだ。(参考記事:「地上に生まれた最初の生命 他の星に生命体の可能性」

 グリーンランドの生物の痕跡と、カナダの鉄を含む糸状の構造物は、生命のしぶとさを物語っている。彼らは、生まれたばかりの地球が震え、噴火し、隕石の雨が降り注いでいた時代に、多様化し生き延びてきたのである。

 「私たちはあらゆるところに生命がいる宇宙に生きているのかもしれません」とハンド氏は言う。「近くの星にも遠くの星にも、年老いた星にも若い星にも、さまざまな命の木がたくさん根を張っている宇宙にです」

(文 Nadia Drake、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年3月3日付]

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