ナショジオ

ニュース

約40億年前の生命か 地球最古の化石発見に異論も

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/3/20

 なぜなら過去にも、同じような構造物が古代の生命(それも地球外生命)の証拠として報告されたことがあるからだ。1996年、火星から南極大陸に落ちた隕石を観察していた科学者たちが、その中に生物の痕跡のように見える管状の構造物を発見したと発表して話題になった。構造物の正体をめぐる論争は今日まで続いているものの、科学界での見方は、生物起源ではないということでおおむね一致している。

 おそらくこの騒動が頭にあったのだろう。ドッド氏らは、自分たちが発見した構造物が、岩石と海水の作用ではなく生命の代謝によるものであることを慎重に証明しようとした。彼らは構造物の周囲の物質を調べて生命現象の兆候を探し、花弁状に並んでいる炭素を含む化合物を発見した。これは、生命現象の痕跡であると思われた。

ガラパゴス諸島沖の現代の熱水噴出孔。(PHOTOGRAPH BY UNIVERSAL HISTORY ARCHIVE, UIG, GETTY IMAGES)

 構造物のまわりにはリンを含む鉱物もあった。リンは生命の基本構成元素の1つで、死骸が腐敗するときに放出される。また、炭素化合物と酸化鉄からなる微粒子も見つかった。これも生命現象の痕跡と考えられる。加えて、今回発見された構造物の分布は規則的だった。管状や糸状の構造物が生命現象によって生じたものでないなら、無秩序に分散しているはずだ。

 「これらはそれぞれが別個の化学的な証拠ですが、いずれも構造物と関係があるのは、生物に由来するものだからです」とドッド氏。

 研究チームはこの構造物を、他の熱水噴出孔の周辺で見つかったものと比較してみた。今のノルウェーにあたる地域から得られた4億8000万年前の構造物や、現在の米国中西部の1億8600万年前の構造物、そして、現在の熱水噴出孔のまわりの生物によるものだ。結果は驚くほどよく似ていた。

 これらの知見から、今回発見された構造物は生物起源の微化石だと研究チームは結論づけた。

■そこまでは古くない?

 しかし、この結論に全員が納得しているわけではない。 NASAのゴダード宇宙飛行センターの地球生物学者ディーナ・バウアー氏は、研究チームが生命の証拠としているもの、なかでも炭素化合物の評価は説得力が弱く玉虫色だと批判する。

 研究チームは、熱水の流れや岩石を変形させた過程によって管状や糸状の構造物が形成された可能性はないと断定しているが、バウアー氏は、その可能性はあると考えている。

 「私には、この構造物が生命によって作られたものとは確信できません」

 もしこれらの構造物が本当に化石であったとしても、年代をめぐる問題もある。2種類の放射性同位体を利用して年代を見積もったドッド氏らは、微化石は37億7000万~42億8000万年前のものと言っている。

ALL CHANNEL